ブレーキフルード交換
さて、今回は懸案でありましたブレーキフルードの交換をしてみたいと思います。
プレーキフルード、ブレーキオイル、ブレーキ液、色々と呼び方ありますね。皆さんはどれがお気に入りですか?(笑)
何が懸案かというと、パニガーレの持病?といわれるものの一つ、「ブレーキフルードがすぐに汚れてしまう」というものです。この画像のように。けっこう有名のようです。
特に リアのブレーキフルードが確かにすぐ真っ黒になってしまいます。私も納車してけっこうすぐに「もうかなり黒い!」と驚いた記憶があります。リザーバータンク近 くに猛烈に熱くなるエキパイの熱源があるから、ABS車特有の現象?リザーバタンクを定番のリストバンドなどでカバーすれば直射日光を受けないから劣化を防げる?など、理由は諸説色々とあるようです。ディーラーさんも持病は承知した上で「性能面で は大きな劣化・低下はないので、まだそのままで・・」ということでしたが。ちょっとスッキリしないまま乗ってきました。フロントも少しブレーキ液の色が濃くなってきたかな・・。別体式リザーバタンクってとにかく眼につきやすいので乗ってても色が凄く気になるんですよね。綺麗な色のブレーキ液でスッキリと乗りたい。道具を揃えたりと準備は進めていた のですが、いよいよ交換にトライです。
といっても、ブレンボマスターとキャリパー装着しているといっても今までのバイクと方法は同じですね。ただ、パニガーレはABS車です。ABS車は構造がブラックボックスチックなので、本来ディーラー設備でないとエア抜き出来ないものと覚えておきましょう。「もしも作業中にエアを盛大に噛ませたら」です。ブレーキ液を補充しつつのブレーキ液交換作業はミスしなければ理屈上、エアを噛む余地がありません。つまりブレーキ液交換中にリザーパタンクの液を切らせるなどの大ミスをしてエアを噛ませなければいいのです。この失敗をしてしまったらディーラーに持ち込む覚悟でやりましょう。ブレーキ液を完全に抜いてからの補充(つまりキャリパーの中やブレーキラインの中、ABS制御ユニットの中まで100%綺麗に新ブレーキ液で満たされる)をしたいというのであれば、ディーラーに任せることをオススメします。
いきなりフロントからではなく、リアから作業を開始してみます。
今回はこのようなツールを用意してみました。ブレーキ液交換作業の捗るツールです。
つまり、ブレーキのエア抜き作業を連続でやればブレーキ液交換は出来るわけですが、それを何度もやるよりは注射器で負圧を作ってライン中の液を一気に吸いとって楽してしまおうというツールです。前述したとおり、パニガーレはブレーキ液がすぐに黒くなるので、多分交換頻度はエンジンオイルと同等になると思い、費用対効果アリと判断してこのツールを購入しました。
リアのブレーキリザーバータンクを開けます。結構簡単に空きます。フタを外す際、中のゴムで出来たダイヤフラムに付着している液が不意打ちで垂れてきやすいので厳重に注意しましょう!
液が車体に付着してしまった時にかけるバケツ水を用意しておきます。
今回はブレーキ液はコレを使用します。
別にサーキットに頻繁に通うわけではないのでDOT5.1とかじゃなくDOT4で充分。フロントリア同時交換に量がちょうど良さそうなこと。色が綺麗な赤でドカティ向き。ドレスアップ効果高し。この色が黒くなるときっとすぐに変えたくなる衝動に駆られる(=プレーキ液を定期で交換する習慣がつく)。という理由で選びました。
ちなみにこの商品、ブレーキ液を注ぎやすいように先端がスポイト状に細くなっており非常に扱いやすかったです。大抵のリザーバータンク周辺は入り組んでおり注ぎにくいのがお約束です。先端が長く量を調節して注ぎやすい。通常だと他にスポイトのような物を用意してそれに液を移し替えて注意深く注ぐのですが(実は用意してました。が、結局使わずに済みました)。
ちなみに、899はドカティによりフロントリアブレーキ、及び油圧クラッチ用として
SHELL - Advance Brake DOT 4 special hydraulic fluid
というものが指定されています。
このようにしてブレーキキャリパのブリーダーバルブにホースをつけてブリーダーバルブを緩めてブレーキ液を吸い出します。ツール使うとブレーキペダルを数回ポンピング+ブリーダー緩めをしなくて良いので楽ですね。この時、このツールの場合は注射器をけっこうポンピングしていいようです。モノによってはポンピングしすぎると廃ブレーキ液を貯める容器が強負圧で破損するので注意。ちなみに説明書によると、この泡はブレーキキャリパ本体からのものではない(多分緩めたブリーダーバルブ周辺から吸った空気)とのこと。そりゃそうですね、こんなにエア出てきたら卒倒モノです。あと、意外な盲点としてはブレーキブリーダーバルブのナット、見た目12mmだろう・・と思ってたらなんと11mmです。11mmなんて手持ちでなかったので不意打ちでまた工具屋に走りました。イタズラ防止のためなのかな・・と思って調べたら、どうやらブレンボのリアキャリパの特徴のようですね?また勉強になりましたね。そんなこんなで古いブレーキ液を吸い出していきます・・。
ハッ!とリザーバータンクのほうを見るとこんなかんじで減っています。ブレーキ液を切らせてしまうとゲームオーバーですので注意。
底が突いてしまう前に、早めに新ブレーキ液を足してやります。色が赤く綺麗でやる気が出てきます。
古い黒いブレーキ液が排出されてきます。下の金属は廃油入れのオモリ土台です。
んー綺麗なブレーキ液に入れ替わってきたかな?と思うのですが、そういえばどうしてこういうツールの耐油ホースっていつも赤なんだろうと思います。なんとなく色が分かりにくいんですよね。透明にして欲しいものです。
最後に仕上げて数回エア抜き作業をしてやり(エアは出てきませんでした)、ブレーキペダルがカチッとしたタッチになり、ブリーダーバルブをしっかりと手トルクで締め確認したら完了です。ブレーキ液面はこの位置にしておきましょう。欲張って入れすぎると、新品で厚いブレーキパッドを入れる際などにキャリパーのピストンが戻せなくて泣きます(液がリザーバータンク満タンだとマスターシリンダーポンプから戻れなくなる)。ご覧のような綺麗な赤色になりました。真っ黒フルードに比べたら泣きたいほど綺麗です。これでやっとスッキリしました。
ちなみにブリーダーバルブの締めトルクは12Nm、しかしこれくらいはいちいちトルクレンチなど使わず手の感覚で「クックッ」でやめておく感覚を身につけるようにしたほうがいいでしょう。けして保証はしませんが「これで充分だと思うんだけど、もう少し締めておきたいな・・」と思えるけど止めておくくらいが適正トルクと私は思います。
リアが問題なくうまくいったので、フロントもやってみます。
少し見えにくいですが、下の長いネジ二本がフロントのリザーパータンクのフタを止めています。一見すると普通にタンクのフタをヒネるだけ開きそうですが、実はフロントはこのネジで止められていてこれを外すとパカッと開きます。
フロントのブレンボキャリパーのブリーダーバルブのボルトは一般的な8mmです。勘違いして奥のバンジョーボルトを止めている12mmを緩めてしまわないように気をつけましょう。
作業しながらチラチラとリザーバータンクを何気に見ておきます。本当はリザーパータンクに布を巻きましょう。ガソリンタンク側には布をかけています。
赤色の線はスマホ充電用USBケーブル。取り回し少し考えないとなあ・・。
フロントも少しだけエアを噛んだフィーリングがしていたのですが、それも無くカチッとした満足のタッチになりました。
フロントとリアを交換した容量です。
ACTIVEの210mlの製品を使い切り、実はもう一つ買っておいたものを少し使ったので計250mlというところですかね。使いすぎ?しっかり交換するとこのくらい使いました。慣れて効率的にやればフロントリアで210mlで充分間に合うと思います。
実走して違和感なければ完了です。
尚ここではブレーキ液交換の細かな手順は書きませんでした。その手の解説サイトは山のようにあるわけで、ここでは899パニガーレ特有の注意点を書くだけにとどめました。ブレーキの整備不良は事故に直結するのでしっかりとやり方を理解してからトライするようにしてください。
ブレーキフルードは劇薬指定です。液のついた指で眼をこすってムスカ化したりしないように。又、廃棄液は排水として流してはダメで、何かに吸わせて燃えるゴミに出すとかしましょう。私は溜めている廃エンジンオイルと一緒にしてガソリンスタンドなどに処分に出します。
あ、クラッチのリザーバ忘れてました。
雨の日が続くので後日やるつもりです。
追記
試走行いましたが、レバータッチ変化など特に問題なし。
リアブレーキに関してはABSも作動確認しました。
タイヤの話 190/55-17 タイヤ交換時期の大事さ
近場での試走も問題なしのようなので、とりあえず遠出で走ってみました。
普通に流す道、ちょっと張り切って走る道。
加速・ブレーキング・コーナリング、特に違和感はないですね。
問題ナシというかんじです。
今回感じたのは、やはりタイヤは大事だなということです。なんのことかと言うと、新品タイヤにして899パニガーレのフィーリングがシマッタというくらい復活したことです。なにがシマッタなのかというと、摩耗してタイヤプロファイルの大きく劣化したタイヤを履き続けることによってフィーリングが悪いまま走り続けていたということを痛感したからです。初乗りした時に感じたあのフィーリングが見事に戻ったのです。それこそ「うわ!やはり新品タイヤいいなあ」という気持ちと同時に、「シマッタぁ・・早く替えておけば」という言葉が思わず口から漏れました。
倒しこみから立ち上がりまで、コーナリング全体の気持ち良いこと!最近、アレ?なんか変だなぁ・・と感じていたものが全て吹き飛びました。ドカティコーナリングのスパーッ!と切り裂くような感覚の復活です。
タイヤ交換の準備(工具の準備とかタイミングとか)が手間取り、減った純正タイヤのロッソコルサをスリップサインが出るまで履き続けてしまっていたのですが、公道主体ではどうしてもいわゆる台形減り状態になり、倒しこみなどで明らかにひっかかるというか、良くないフィーリングが出ていたのです。今までの4気筒ならば「なんとなく倒しこみ重いなあ」くらいで、まだそこまでは過敏に感じることはなかったでしょうが、2気筒のように軽さを信条とするオートバイではタイヤの劣化はすぐにハンドリングのフィーリングに影響する致命傷レベルだと認識しました。やはり頭がまだ4気筒なんでしょうね。
これを踏まえると、タイヤ交換時期というのはタイヤが減ってきて何かフィーリングが変だなと感じた時(ちゃんと空気圧管理された上で)が換え時だと思いました。たとえスリップサインがぜんぜん出てない時でも。一般的なスリップサインが出るまで引っ張ってから交換という考え方は許してくれませんね。フィーリングが悪くなったらそれが交換時期です。スリップサインまであと少し、我慢して乗ろうとかするとこのバイクは気持ち良い走りを提供してはくれません。
これは私が以前からもっていた考え方のくせして、それをガツンと再認識させられてしまった感じです。だからシマッタ!なのです。2000km弱くらいは損して走っていたかもしれませんね、恥ずかしく勿体無い・・。
タイヤが台形減りした乗りにくい状態で走ってもその時間はバイク人生では無駄です、スリップサインまでまだイケると思ってもさっさとタイヤ交換しましょう(オマエが言うなって?)。
けして、とにかく良いグリップのタイヤを履かせろという話ではなく、プロファイルが綺麗な弧を描いている正常な状態のタイヤを履きましょうという、ワタシ特有のクドいお話です。
さて、この暴挙。分かる方には分かるかな。なかなか目にしないブツですからね。
タイヤの話 190/55-17 番外編
タイヤの話 番外編です。
タイヤ交換は自分で行いました。CBR時代のものでは足りなくて工具揃えとか準備とか色々やりましたね。以前のCBRサイトでは載せていましたが、手組タイヤ交換はもう動画サイトや解説サイトが多くありますので特に載せません。前後タイヤの脱着に関して、今回やってみてドカティならではというか、感じたことを少しお話したいと思います。
フロント、写真はこれだけです。この時点ではまだブログに載せようと思ってなかったので撮ってなかった・・。フロントはあまり苦労はしなかったかなと。国産車でやったことがあるなら特に問題なくできるかと。左に立っているのは抜いたアクスルシャフト。
①キャリパーボルトを緩める、キャリパー取り外しの際、キャリパーをホイールにぶつけないようにスペースをうまく利用して持ち上げディスクローターから離します。
②フロントフォーク下のボルト(クランプボルト)を緩める。
③アクスルボルト(30mm)を緩める。
で外れます。
フロントスタンドはJTripのパニガーレ用(1199,899)です。ラジアルマウントキャリパーのフォークならだいたい他の車種でも使えるそうです。ラジアルマウントステーの下側を持ち上げるので。
キャリパーはハンドルに吊るという安上がりな方法。
フロントアクスルを締める際、ナットの逆サイドを回り止めする際にドカティの特殊工具(Front Axle Alignment Tool)が必要となるようですが、フロントフォーク下のボルトを軽く締めてからアクスルを締めれば共回りせずに締められるから無くともなんとかなる(某ブログ情報)。フォーク下のボルトは再度緩めてフォークをストロークさせてなじませてから締め直しましょう。
キャリパーマウントボルトは以前のCBRもそうでしたが、上下にわずかにガタがあるので、キャリパーを上に持ち上げて(ブレーキングでキャリパーが上に引っ張られるから)ガタを消すように持ち上げたまま締め込みに入るようにしています。
締め付けトルク
フロントアクスルボルト 63Nm
ブレーキキャリパーマウントボルト 45Nm
フロントアクスルクランプボルト 6Nm
リアホイール。
アクスルナット、ドカティのリアアクスルナットはメチャクチャ固いと言われています。899は両持ちですが、それでも固かったですね。片持ちスイングアームのようにホイールが共回らないだけ楽でしょうか。かなりの高トルクで締め付けられてます。イタリア人◯カなんじゃないの!?と言いたくなるくらい・・。なんたってアクスルボルト締付けトルク180Nmですよ!CBRは80Nmくらいだったのに倍以上。マジかって思いましたけどね。片持ちモンスター系でも同じくらい、1199とかに至っては軽く200Nm超えのようです、目眩が・・。
最初は手持ちで最大のラチェットレンチでやりました。ダメでした。体重かけてもビクともしません。仕方ないので検索したら、長尺スピナーハンドルの出番のようです。近所の工具屋に行き400mmのスピナーハンドルを買ってきました。締め込み500Nmまで行けるブツのようなので体重でガンガン乗っても大丈夫でしょう。これでダメだったらどうしようと思いつつ、壁によじ登り、画像のように完全にレンチの上に体重を載せグッグッ!と・・(写真は実はナット外れた後に撮った再現画像です)
なんとか外れてくれました。
外れた特殊ナットとこれを外すための「コーケン製899リアアクスルナット専用ソケット」です。確かに、背が低くガッチリ入るのでトルクがかかりやすく頼りになりました。背が高いと今回のような高トルクはなかなか掛からなかったでしょう。ドカティはチョイチョイ専用工具が必要になりますね。
チェーンアジャスターを緩めアクスルシャフトを抜いてリアホイールを外しました。ホイールについている左右スペーサーを落失しないように気をつけます。ホイールを引っ張り出す時はブレーキキャリパーにホイールを当てないよう、左側に傾けながらゆっくりと引っ張り出します。チェーンアジャスターもこの形式は初めてですが、シンプルで扱いやすかったですね。
スイングアーム内側が汚れていたのでこういう時しかできない清掃を。
まずまず綺麗になりました。マフラーをスリップオンのサイドマフラーにする時はあのへんをゴニョゴニョするんですね・・面倒そう。
ついでにチェーンの裏側も清掃、注油。
スイングアーム内はけっこう肉抜きされてます。思いの外綺麗でした。
リアホイール装着。
リアホイールをブレーキキャリパーにぶつけないよう、やや左向きにしながらゆっくりスイングアーム内に差し込みます。同時にブレーキキャリパーのパッド間にローターを差し込むわけですが、最初にパッドを大きめのマイナスドライバー(布を噛ませて)などで間隔を押し広げておくといいです。ここ少し手間取りますね。しかしキャリパーが下側なのでCBRなどの上キャリパーに比べると楽です。これが上キャリパーだとホイールを少し足の甲で持ち上げつつ高さホールドしながらパッドにローターを差し込んで、入ったらすかさずアクスルシャフトを差し込まないとダメだから(これがなかなか苦しい)、何度やってもけっこうリトライして苦労するんですよね。それに比べると899は体力も使わず数回のリトライで出来ました。
チェーンアジャスターで左右調整します。チェーンは上下に振ってもマフラーにギリギリ当たらないくらいがベストのようです。私の出荷時標準位置は左右ともこの位置。
リアアクスルを締め込みます。
180Nm、手持ちのトルクレンチは96Nmくらいまでしか締められません。これで目一杯締めて、あとはスピナーハンドルで追加で少し締め込むことにしました。感覚ではだいたい計140から150Nmくらいの筈です。リアアクスルはビックリ規定トルクほどグイグイ締め込まなくてもいいと思うんですけどね。足でスピナーハンドルに乗ってもゆるまない程度、次に外すことを考えて少しだけ低めで。しばらくはアクスルナットにゆるみが出てないか走りながら観察することにします。
締付けトルク
リアアクスルナット 180Nm
タイヤの話 190/55-17 その2
さて、やっと本題です。
180/60-17サイズに欲しいタイヤが無いと分かった私は、では、どうしたらいいのかと考えました。ミドルクラスでは一般的な180/55-17を履かせる?しかし計算上、180/60とは外径も横幅もけっこう違います。横幅はそんなに要らないんですけど、外径が大きく異なるとマズい事態が懸念されます。タイヤスリップ率で動作するトラクションコントロールとABSの誤作動です。
トラクションコントロールとABSがどのようにタイヤスリップ率を検出しているかによるのですが、いずれにせよABS・トラクションコントロール、タイヤ外径変化により意図せずいずれかのスリップ率を誤算出されてしまう恐れがあります。
またリア車高が下がるわけですから尻下がりの状態になります。私は車体姿勢としては旋回性能も含めて今の状態がまず気に入っているので変えたくありません。車高が尻下がりとなった状態がどうなるかはCBR時代のトライで嫌というほどわかっています。車高が低いのはバンクした際に地面が近くなることもあり安心感があるのですが動きがダルになる為、私は嫌いなフィーリングです。
なので、180/60-17から横幅は少なくてもいいけど外径は変えたくない、というタイヤサイズを計算して探すと(実際は実タイヤサイズを計算して載せているサイトを見まくった)・・タイトルの190/55-17というサイズが浮かび上がってくるのです。各タイヤメーカーのタイヤで比較してみても(メーカーによって同サイズでもけっこう違います)、実タイヤサイズの違いはほぼ数ミリ以内です。180/55よりは190/55が計算上ベスト、190/55ならばハイグリップからツーリング用までリッターバイクのタイヤとして文句なしに数多く流通しているので希望が広がります。190/55-17のサイズを履いてみることに決定しました。
で、履いてみた結果・・。
タイヤ銘柄は今の段階ではあえて伏せますが。
スイングアーム、チェーンライン、リアフェンダとのクリアランスも特に問題なしです。かなり余裕ある作りなので200サイズも履けてしまいそうですね。600ccクラスの苦労が偲ばれます・・。
フィーリング
トラクションコントロール・ABSの誤作動は特に認められません。普通に新しいタイヤに替えた時の軽快感が感じられます。しばらくこの仕様で走行してみますが、今のところは成功といえるでしょうか。標準で180/60サイズのバイクの方はタイヤチョイスに困ったら試してみる価値アリと思います。
タイヤ銘柄もそのうちお話したいと思います。
タイヤの話 190/55-17 その1
タイヤのサイズです。
180/60-17じゃないの?と思った方、正解です。
899パニガーレのリアタイヤは180/60-17が正規のサイズです。
このサイズ、市販車としてはまだまだ特殊で、主に600ccのレースで「180サイズなのに扁平を60にすることで実質リッターバイクの履くような200/55サイズに近い接地面積と耐摩耗性能(1レースレベルでの)を得られる」という狙いで開発されたサイズのようです。しかし、そこは新しもの好きのドカティ、SBKシリーズのみならずミドルクラスの各車種への採用を進めています。なので、SBK以外の最近のドカティ乗りの方も少し気になる話になると思います。
実際、2014年までの全日本選手権ではメッツラなどで猛威を振るったサイズのようであります。しかし2015からはブリジストンワイメイク(R10(EVO)のみ)になり、国内は180/55-17サイズ固定での争いに戻ったようであります(2016からは地方選手権600ccもBSワイメイク)。このR10(EVO)というタイヤ、サーキット走行専用にするため公道安全走行のための開発・施工費用をかけないかわりに、レース参戦者への提供価格が安い(=レース参戦コスト減)ようなんですが、ならもうレーシングスリックでやればいいじゃん・・と思えるのですが。普通に売ってる街乗り溝付きタイヤを買って参戦できるというのが元々の改造範囲を狭めた600の車体でやるレースの趣旨だったと思うのですが。
更に、このサイズで一悶着。このサイズを履くのは一筋縄ではいかないということ。180/60サイズはタイヤ装着時横幅はほぼ200サイズに匹敵する(外径は190/55同等)と書きました。すると何が起こるかというと車種によって「バイクに装着できない、調整が面倒」という事態が発生するのです。タイヤ外径が大きくなるのだからそのまま装着だとスイングアームピポッド部やリアフェンダーにタイヤが擦ります。それを避けるためにリアタイヤをチェーンプラーで思い切り後ろに引っ張って、するとチェーン長が足りなくなるからチェーンを足すか前後スプロケのセッティング変更でそれを誤魔化す必要アリとか。更に横幅が200並に広がるからタイヤエッジ部とチェーンラインのクリアランスがかなりギリギリになるケースがあるようですね。チェーンラインオフセットなんて荒業も見ました。要は元々、600クラスのオートバイはリッターバイクの履くような200/55サイズに匹敵する180/60なんてサイズを履くようには開発されてきてないわけですから将棋倒し的に各部リセッティングが必要になる、ということですね。2014年の話だと全日本選手権600へ参戦されているしんたろう選手がこのへん苦労されていて「強いけど扱いが難しいサイズのタイヤだな」と印象に残っています。
このように180/60は使いこなせば早いのですが、その使いこなすまでが大変。しかしやらねば勝てない。そこが、タイヤ性能の差とノウハウの差が使用するタイヤメーカが違うチーム間格差が広がりすぎたために不満が募り、ワイメイクへの流れとなったのでしょう(妄想)。タイヤメーカが違うことによるチーム間格差が出来過ぎてワンメイク化というのは、motogpでもF1でもそうでしたね。
話が脱線しました。
しかし、そんな話も日本国内での話。ワールドワイドで見れば中量級レースシーンではリアタイヤは180/60-17サイズの有効性が幅を効かせているようであります。そんなわけで時流に敏感なドカティもその時流に乗り、899 パニガーレへ180/60のタイヤを採用したのだと思いますが・・。
「タイヤが無い」
のです。
普通に売ってるじゃないと思いますが、180/60なんていうサイズは国内タイヤメーカーは販売しておりません
(そもそもバイクメーカーがミドルクラスの開発ターゲットにしていない180/60なんてタイヤサイズは亜種・邪道として無視しているフシもあると思われ)。
ほぼピレリと同体のメッツラー、そしてミシュランのみがサイズ展開、しかもそのサイズの存在する理由上、ハイグリップハイエンドタイヤにしかサイズ展開しておりません。
今、タイヤ屋に「180/60-17くださーい」と店に行くと、「ハイ」と出されるのはレースに使うようなタイヤしかないわけです。公道メインで峠遊びメイン、たまにツーリングも行くというならそこまでの高価なハイグリップタイヤなんていらないですよね、SSといえども。ここが困った所なのです。サーキット行く方は迷いなく180/60 ロッソコルサ以上を履いてください。
そこでやっと、タイトルのタイヤサイズになってくるわけです。
お手軽オススメのパーツ
899にオススメのお手軽パーツ紹介。
パニガーレはスタンドが車体に完全フィットして格納されるため、足で出しにくいです。慣れるまでは跨ったままなかなかパッとはスタンドが出せません。
それをやりやすくするのがこのツール、スタンドに噛ませて取り付けると、足を引っ掛ける突起が出来るのでスタンド出しやすくなります。普段も目立たないのでオススメ。
個人的にお気に入りのレバー、D3sport。
以前に乗っていたCBRで気に入ったので文句なしでパニガーレにもつけました。お値打ちなのもあるけどフィーリングがいい。レバー形状が角なので、指の引っ掛かりがいい(レバーが形状が丸くないとダメな人はダメかもしれない)。レバーがショート(調整可能)なので、ブレーキが人差し指中指の二本掛けの場合はレバーの一番力がかかってほしいところに二本指が置けて微妙なブレーキング、クラッチ操作ができる。そして色が選べてドレスアップ効果も抜群!
そしてあってほしくないが、立ちゴケや転倒時のレバー破損。ビレットなので助かる率が上がる。このビレット部、そんなに軽くはパタパタ折れたりしないので、走行中に勝手に折れたりして慌てることは皆無です。値段の割にかなり満足度が高かったのでお気に入りです。
そして
上のような油圧用クラッチレバーを自分で取り付ける際に必要なのが上のツール。
純正クラッチレバーについている油圧マスターのポンプを押しこむ部品を純正レバーからアフターパーツのレバーへ移設する必要があるのです。このツールで、圧入されているカラーを外さないとそのパーツは取り出せません。無くても出来ますが力技で叩き出す必要があるので傷がつきます。レバーは安いのですからこのツールは一緒に買っておいたほうがいいかと思いますね。アントライオン用ですがD3sportにも使えます。というか、いろんなメーカの油圧用レバーのカラー取り出し取り付けにもほぼ使えるでしょう。
最後におまけで899に乗っているような気分になれる動画。(風切音注意)
お粗末さまでした。
ステップバー交換
ステップバーを交換してみました。
ノーマルのステップでしばらく乗ってまして、「ノーマルのステップは表面加工が良くなくてひっかかりが弱くてすべる」と言われていました。私は「そうかなー?」と思いつつ乗ってましたが、最近、特に巡航中に足がソワソワ動いていることに気がつきました。気になってきたので、グリップのいい社外ステップバーにしてみました。
DUCABIKE(ドゥカバイク?)というメーカーです。型番:PPSF02A
調べたらイタリア ドカティ本社の近くにある、有名なアフターパーツメーカーのようですね。モトクレイジーのも考えたのですが、今回は色がついたのが欲しかったのでこれにしました。ステップバーだけで一万チョイ、輸入加工品だからしますね。
ノーマルステップと並べてみました(これはもうノーマル外した後の写真)。
表面加工が明らかにグリップしやすそうなのと、私の好きなショートステップです。長過ぎるとハングオフした時先端が踏めないので足が落ち着かないんですよね。
発色も思ったほど主張するギラギラした赤ではないですね。
商品説明ではボルトオンキットと書かれています。
まずはステップの後ろにあるこの部品を外します。
サークリップサークリップと言ってましたが、正確にはサークリップ タイプEというモノのようです。切れ目と逆の方をクルッと正面に回して、マイナスドライバーでクイッと引っ掛け引っ張ってやると外れます。ここで勢い余ってピンッ!!とこの部品を飛ばしてしまわないように注意(お約束)、よく飛びます。
次にステップバーを固定しているシャフトを押し出します。
こういうふうに棒みたいなもの(これは六角ソケット)を当てて、プラハンで軽くコンコンとしてやれば押し出されてきます。
徐々に押し出されてきて・・。
抜けました。
純正ステップバーがとれます。
交換するステップバーにシャフトとリターンスプリングを取り付けてみます。
ステップバーの形状のせいで、リターンスプリングの端が少し飛び出してしまうようです(ブーツには引っかからないようですが)。シャフトはガタツキもなくスルスルと通るので加工精度は問題ないようです。
完了しました。
サークリップ(Type E)もこのように元通り取り付けます。
(スタンドの裏けっこう削れてるなあ仕方ないけど)
で!今まではのは左ステップです。問題は右ステップでした。
簡単簡単、ならば右も・・と交換しようとしてハタと気がついたのでした。
リアブレーキマスターとマフラーがあるから工具入るスキマが無い!
サークリップを外すための手を入れるスペースもプラハンを振れるスペースも、見たカンジでは有りません。ステップユニット丸ごと外してしまえばいいのではと思い、リアブレーキマスターを外すあたりまでやってみたのですが、どうもこれやっても無理臭い。よっぽど特殊な曲がりの六角レンチが無いとステップ全体の取り外しは無理。そういえば、逆シフトした時に右のステップ周りの分解は特工具持ってるディーラーじゃないと無理そう、と手を出さないようににしようと思っていたのでした・・。
仕方ないので、かなり苦しいと思いつつダメ元で左ステップと同じ方法でやってみました。まずはサークリップを外し・・かなり無理な角度からマイナスドライバーで力加えないと無理です。それでもどうにか外し・・パキンッ!サークリップは外れましたがやはり力のかかる方向がマズいのでサークリップが割れて飛びました。この部品はホームセンターでも代わりは手に入るので仕方なしとします。
次にシャフト。
ちょっと無理なんじゃないか・・と長めのドライバーを当ててプラハンでコンコン・・このプラハンがマフラーのエキパイが立ち上がる部分が邪魔で本当に振れないんです。マフラーエキパイに布とか当てて傷防止してからやったほうがいいと思います。強くコンッとすると、うまく押し出す力が伝わったのかシャフトが動いてくれました!
こうなったらしめたモノ、途中までどうにかコンコンと押し出し、あとは布を噛ませてペンチで挟み、シャフトを掴んで力で引き抜きます。めでたく抜けました。
で、ステップバーを取り付け・・。
ステップバーの取り付けシャフトが微妙に入りきっていないのが分かるでしょうか?
完全に打ち込まずに後で抜きやすくするためわざとこうしておきます。
こうしておくと、後の押し出し作業のしやすさが断然違います。シャフト自体、しっかりと入るので特にサークリップで固定しとかなくともまず抜けることはないでしょう。
素人メンテが出来るのはここまでですね、ステップ全体の交換はディーラーさんじゃないとキツいです。特に右ステップ。メンテ性よりも機能美を優先するドカティならではですね。
とりあえずいつものブーツで乗ってみると、ステップ表面の細かい凸凹が足の裏に感じてグリップ良さ気ですね。
実際の使用感はまたのちほど。
-インプレ-
まず、「変えて大正解」というのが言いたいことですね。
ハングオフ姿勢をとっている時も、足裏がカチッとひっかかり、不意にスルッと動いてしまう気配を感じないです。私のブーツのソールとも相性いいみたいですね。思わず「おっ!いいね」と。体重移動もグッと安心してできます。
また、巡航中も今までいかにチョコチョコと足元が滑って動いてしまっていたかを実感しました。結果、姿勢が乱れないから疲れないです。これはオススメですね。
これは費用対効果充分アリのパーツだと思います。これなら最初からこれくらいのステップをつけてくれればいいのに・・とりあえず仮の純正ステップつけといたから、さっさと替えろというのが垣間見えてさすがドカティ(笑)
1299からは純正ステップがこれに近いものになっているようですね、うらやましい。
けどアフターのこれは色がついてるからいい、ワンポイントで足元に赤って「お!けっこう良いな。」と思いました(オーナーバカ)。
-20160322追記-
すっかり車体にも馴染んだわけですが、あれからステップから足が滑り「オットト!」といったことは一切なくなりました。普通に快適に乗れているのはこのステップのおかげであるところが大きいと思います。変えてよかったと思えます。