Ducati 899 Panigaleいじり

Ducati 899 Panigale いろんな意味でいじりとバイク全般

フロントブレーキキャリパ メンテナンス - ブレンボ Brembo -

※この記事ではブレーキという重要部品のメンテナンスを解説しています。
 基本的な整備経験の無い場合は安易に真似をしないようにしてください。

 

自分でフロントブレーキキャリパの清掃と揉みだしメンテナンスをやってみました。

清掃は分かるでしょうが、「揉み出し」とは?

ブレーキキャリパには油圧で押し出されたり引っ込んだりして、ブレーキパッドをブレーキローター(ディスク)へ押し付ける力を加減する役目をする「ピストン」というパーツがあります。ブレーキダストなどの汚れがキャリパ内に堆積してくるとそのピストンの動きが悪くなり、気がつかないうちにブレーキィーリングが悪くなったりします。 その汚れを清掃し、ピストンを動きをスムーズな状態に戻してやるのが「ピストンの揉み出し」と呼ばれるメンテナンスです。

ニッシンのキャリパーは以前のCBRで何度もやっていたのですが、今回のはあの「ブレンボ」のキャリパーです。ブレンボだよ?出来るのかな・・と思いましたが、同じ油圧ブレーキシステムですし、そんな大きく変わらないだろうと思いトライしました。

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まずは清掃です、普通にバラしてますが、タイヤ交換などをしているのでキャリパ周りのバラしはOKです。注意する点は、ピストンピンはブレーキキャリパのマウントボルトを外す前に緩めておく(完全には外さない)ことです。マウントボルトを外してからピンを緩めようとすると「あれ、うまく力がかけられないから外せない・・」と、またマウントボルトを取り付けてやらないとならないからです、。キャリパを外したのに、またキャリパをフォークに取り付けなおしてパッドピンを外す・・CBR時代に何度もやらかしました。これ忘れないようにしましょう。

 

あと、キャリパを取り外す際は、キャリパをできるだけフォーク側に持っていってからゆっくりズラしてブレーキローターから外すようにしましょう。ブレーキディスクが大型化してキャリパ自体も大きくなっている昨今、ホイールとキャリパのクリアランス(隙間)がかなり少ないため、取り外しの際にキャリパがホイールに当たって傷がついてしまいやすいからです。コツンと当たっただけでけっこうすぐに傷がついたりするので要注意です。隙間の大きくなる上側(フォーク側)に持っていってから外すとそのリスクも少ないというわけです。

 

ちなみにブレンボのピンはトルクスです。 あっ・・このサイズのトルクスあったかな?と思ったのですが、幸い買っておいたトルクスレンチでありました。次はトルクスのソケットを用意しておくことにして今回はこれで行きました。

パッドピンは以外と軽く締められていて、しかもブレンボは一本です。あともう一点の中としては、パッドピンに割りピンのようなもので抜け防止しているパーツがあります。これをパッドピンを緩める前に抜いて外しておくことです。このパーツは初めて見たので「なんだこれ?」と思いましたが。

 

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食器用中性洗剤を溶かしたぬるま湯と歯ブラシでキャリパとパーツ類をゴシゴシと洗っていきます。パッドスプリングをすぐに綺麗な金色になりました。気持ちがいいですね。個人的には、パッドスプリングが綺麗な金色だと一気にキャリパ回りのキラキラ度が上がると感じますね。キャリパを見ると一番に目立つパーツですからね、そういう意味でも大事なパーツだと思います(笑)

パッドピンは本当は新品に変えたいところですが、新ブレーキパッドにする次回に回すこととしておき清掃とシリコンコーティングするに留めておきます。

キャリパーマウントボルトも本当は変えたい・・。

 

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ブレーキパッドも清掃します。ただ、ローターと当たるパッド面はあまりゴシゴシしないほうが良いと思います。また、ブレンボのパッドはバラすと元の取り付け向きが分からなくなるので、分からなくなる前にパッドの裏へ「RR(右キャリパの右バッドの意)」「LL(左キャリパの左バッドの意)」とか油性マジックで書いておくようにしましょう。

 

キャリパ自体の清掃です。

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私の場合ですが、このように軍手などした指を間に入れた状態でブレーキレパーをポンピングし、ピストンを押し出します。最初は指が軽く挟まれる程度に出して清掃し、徐々に「これ以上挟まれたら指が抜けなくなるカモ!」くらいにピストンを押し出して清掃していきます。挟まれた指が本当に抜けなくならないように注意してください(笑)

慣れない内はゆっくりやりましょう。

 

-余談-

必ずしもオススメ出来るわけではないですが、指を挟んでピストンの押し出しを実感すると、油圧がどのように働いてブレーキパッドをブレーキディスクローターに押し付けているのか構造を実感しやすくなります。すると、実際のブレーキング時にこの感触を思い出すことで、今バッドがどれくらいの力でブレーキディスクローターに押し付けられているのかイメージしやすくなり、それはつまりブレーキング操作の向上に繋がります。ぜひ、ピストンに指を挟んでブレーキレバーを操作して実感してみてください(指が抜けなくならない程度で)。

 

清掃は歯ブラシでピストンの全周と周囲のキャリパボディを歯を磨くのと同じように洗っていきます。パッドのダストが落ちてどんどん綺麗になっていきます。

ピストン周囲を洗ったら、ピストンをキャリパの中に押し込み、またピストンを押し出して洗ってまた押し戻す・・こうやってピストンを清掃して動きをスムーズにしていく行為が「ピストンの揉み出しメンテナンス」と呼ばれるものです。

ピストンを押し戻す際も、一つのピストンだけを急激に押し戻すのも危険です。他のピストンに急激に油圧が回り、他のピストンが抜けてしまう可能性があるからです。あくまで「4つのピストンを出来るだけ均等に」押し戻すようにしましょう。

やっているうちに動きやすいピストン、動かないピストンがあるというのに気がつくと思います。完全に4つのピストンが同じようなスムーズさになるわけではありません。洗って揉み出ししていく内に差は少なくなっていきますが、最後まで僅かながら差は残ります。どのピストンが動きやすいのかそうでないのか、それを掴んで揉み出しをしていくのがコツといえるでしょう。

 

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ピストンピンの押し出しはこのくらいを限度としたほうが良いでしょう。これくらい洗えれば充分です。欲張ってあまり出しすぎると「ピストンが抜ける」という大事故を起こします。ピストンが抜けたら塗装を犯すブレーキフルードが飛び出し、修復は大変なことになります。整備経験が浅いうちに、ピストン揉み出しを安易にやらないほうが良いと言われる理由はここにあります。焦らずに行うようにしましょう。

 

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ブレーキパッドを取り付けます。ブレーキローター分の隙間は開けておくようにしましょう。

 

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パッドスプリングの取り付けは少しコツがいります。パッドを均等に保持しつつスブリングを押し付けながらバッドピンを通す。ブレンボはパッドピンが一本なのでニッシンキャリパーの2本よりやりやすいと感じましたね。

余談ですが、レースの世界ではパッドスプリングをブレーキフィーリングを向上させるために取り付けない時期がありました。パッドスプリングはピンとパッドに押し付けられているので、ブレーキリリース時のパッドの動きが悪くなるから・・と考えられているからだと思います。しかし、このスプリングが無いために本締めを忘れたパッドピンが走行中に簡単に抜け落ち、すなわちブレーキパッドも脱落してブレーキが効かなくなって転倒という事故が発生しました。パッドスプリングがあれば、緩んでも押し付けられる力がまだあるためにピンは抜けなかったかもしれない事故です。そのため、レギュレーションでパッドスプリングの取り付けは義務化されています。取り付けは少し手間がかかり面倒ですが、パッドスプリングはつけるようにしましょう。

参考リンク
HRC | 技術情報 | セッティング | 2004年 クラスレギュレーション変更に伴う注意

 

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キャリパボディもパッドスプリングも綺麗に金色になり、やはり見た目がいいですね。このくらいになれば満足です。まだ汚れがついてますが、きれいに拭き取りました・・。

取り付けの際の注意ですが、ラジアルマウントではないキャリバもそうですが、キャリパをブレーキローターの回転方向(上側)へ押し上げながらキャリパマウントボルトを締め付けるようにしましょう。分かると思いますが、キャリパ取り付けにはわずかながら「ガタ」があります。回転方向へ押し付けずに締め付けると、ブレーキングでそのガタが緩みとして発生してしまい、ブレーキング時にキャリパ自体が動くようになってしまいます。

CBR時代にこの失敗をしてしまい、ブレーキングする度にブレーキレバーにコンコンコンコン・・と断続的な妙な感覚が伝わり、怖い思いをしたことがあります。つまりキャリパ取り付けが緩んだのです。

素人整備レベルではこういう失敗をして怖い思いをする場合があります、キャリパ取り付けの際のお約束として注意してください。

 

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キャリパ周りが綺麗になり、パッと明るくなりましたね。やった甲斐を感じる、満足度が高いメンテナンスです。

 

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手組み・手動タイヤ交換 考

 

ehatovcat.hatenablog.com

・・の項の追記に書いたとおり、手組みタイヤ交換で初の失敗(敗北・GIVE UP)を喫しました。無理にやろうと思えばできたかもしれません、しかし、やればホイールは大きく傷ついてしまっていたでしょう。以前のバイクならば「まぁ、いいや」でやったかもしれませんが、今は乗ってるバイクがバイクです。そのような愚行を犯すわけにはいかず、撤退することとなりました。

 

ショックで一時は完全に手組交換からは引退も考えましたが、よく考えれば、あの部分(下の動画の2分16秒から32秒の部分)だけが出来ないだけなのです(しかもレバーを思い切りこじりやすいので最も傷をつけやすい作業パート)。

よくあるのは、2分6秒から16秒の部分と3分31秒から37秒の間の部分、ここをレバーでやるのが手組みの難関と思われている「誤解」です。ここは要領を得ればレバー手組みでも簡単なのです。焦らずやれば、リムプロテクターを使用し誰もがホイールを傷つけずにやれるようになります。事実、今回の超固ナンカンタイヤでもここは出来ました。

時間を浪費し、体力も浪費するのがアノ最も難しい部分なので、あそこだけホイールを持ち込み、チェンジャーマシンでやってもらうことにしました。行きつけのショップならば、その工賃を支払ってもまだ足は出ないので割り切ってそうすることにしました。もうイタズラにホイールを傷つけたくないですしね。

 

ということで、今回は私の経験の上から語る、タイヤメーカーごとの「手組みのしやすさ」ランキングを発表したいと思います。タイヤごとに構造から固さ・重さなどが違いいます。これは店頭でタイヤを触っただけではわからず、実際に組んでみないとけして分からないことです。これを知ることで、このタイヤはどういう走り方のために作られたタイヤなのか?ショップに交換してもらって乗るだけよりも、一歩進んだタイヤへの理解が深まります。

※よくあるインプレの、交換後は前のタイヤよりヒラヒラして軽い!とか言いますが、あれは当然のことです。偏摩耗しまくり、きっとエアも適正に入っていなかったタイヤから、プロファイル形状もしっかりして、エアを規定圧まできっちり入れられた新品タイヤです。ヒラヒラして当然です。

 

 

ちなみに、サイズはリッタークラスの120/70 180/55 190/55あたりのフィーリングです。他のサイズ・扁平率だと難易度は変わるかもしれません。

 

【やわらかい 簡単】

文句なしにミシュランでしょう。
パイロットパワー2CT、パイロットロード2などを組みました。

徹底してエアボリュームに頼って支える構造のようで、新品でもかなり柔らかい(ペナペナ)です。最も柔らかくなる夏場などは本当にレバー無しで手だけで組めるのではと思ってしまうくらいです。組んでいて本当にグニャグニャとよく変形します。変形しすぎてエアを充填する際にホイールとスキマが出来てビード上げ失敗しやすいのが注意ですね(ポンポンとよく地面に叩きつけて変形を直し、ビードを密着させればOK)。

反面、これはスローパンクチャーでも一気に逝って走行は不可能になるだろうなと分かります。最初に手組タイヤ交換にトライするならば文句なしにミシュランをオススメします。

 

【普通 簡単】

ダンロップかなと思います。
古くはD208、最新だとロードスポーツを組みました。

ミシュランよりはやや固くはなりますが、ぜんぜんイケます。ミシュランよりもコシのある固さなんだけど固すぎないという絶妙な感触があります。ビードあたりだけがねばっこい剛性感があるというか、周囲を柔らかくしても基礎となるビード部分だけはしっかりさせて剛性バランスをとっている印象があります。D208の頃は好きになれませんでしだが、ロードスポーツは摩耗による急激な特製変化も無く、素直でかなり印象良かったです。

 

【やや固い 一つの壁】

ブリヂストンかなと思います。
BT010、BT012SSあたりからBT014あたりまで組みました。

このへんになると、かなりタイヤ全体がガッチリして手組みの際にも手応えがあります。手で変形させようとしてもなかなかの固さがあります。一時期、ブリヂストンばかり履いていたので最近はあまり組んだり、履こうとは思いません。フロントの偏摩耗が起こりはじめると、いきなりフィーリングが悪くなる傾向が強かったです。フロントタイヤのサイドが絶壁の変なブロファイルでした。例の一番大変な作業ポイントで、力技だけで剥がすことが出来るのはこのクラスまでです。

 

【固い 覚悟が必要】

外国産勢 メッツラー、ピレリです。
Z8インタラクト(スチールベルト)、ROSSO CORSAなどを組みました。

「外国産の作りは固いな!」とはじめて痛感しました。手の力での変形もしずらいですし、新品を触っただけで「あ、これは苦労するな・・」と直感しました。

かなり苦労して組んだ記憶があります。ピレリに関してはパニガーレの新車標準タイヤでしたが外すのもけっこう大変だったような・・。とにかく固いです。国内産のタイヤで慣れてからトライしたほうが無難だと思います。いきなりこのクラスのタイヤ手組にトライすると、二度とやりたくなくなるかもしれません。

例の一番大変な作業ポイントでかなり手こずります。レバーもかなりこじって、体重をグングン乗せ、プラハンで叩き、ウンセウンセと言ってようやくタイヤを剥がした記憶があります。出来ればこのクラスも、機械の力を一切借りない手組オンリーは二度とやりたくないレベル。

 - 番外 -

このクラスの番外として、サーキットで使用したSPタイヤの中古もあります。BT-001、002とかの中古タイヤですね。これもかなり固かった。苦労して組んで外した記憶がありますね。ナンカンほどではないけど、あのゴムのタイヤと思えない硬化したガチガチ(カチカチ)感は近いものがありました。経験としては良かったと思います。

 

【パリ固 人の力では絶対無理】

金字塔のナンカンタイヤです。
タイヤを触れば誰しもが「あ、固い」「手で組めるのコレ?」と思うはずです。本当に手の力ではまず変形しません。体重を思い切り乗せてみて、やっと少し変形するかな?と感じるほどです。タイヤ手組み中に踏んだりして変形させたタイヤが、抑えていないと勝手に完全に元の形に戻るんです。これがどんなことか、手組みしたことがある人なら「えっ」と思うでしょう。普通は変形させたタイヤはエアを充填しない限り勝手には元に戻らないんです。

最初にタイヤが届いて触った時「あ、これは失敗した。やはり東南アジアタイヤはダメだったか・・」と正直思いました。なので、最初走行した時は「ええっ?ぜんぜん悪くない・・」と驚きましたからね。

パンクでエアが抜けてもタイヤが全然潰れないんでは?と思えます。けど、実際の走行フィーリングはいいんですよ、不思議なことに。出来ればこのタイヤはショップなどでチェンジャーで組んでもらうことをオススメします。チェンジャーでも感触は固いんじゃないかなぁ・・。工賃を払っても他のタイヤよりはだいぶ安いですしね。 

タイヤ手組みに自信のある人、物好きな人は腕試しで試してみてください。

特にタイヤを外す部分ですが、私は正直、無理です。
ハメるだけだったら出来るけど・・チェンジャーマシン必須。

 

不思議なタイヤですね。

 

以上、これからタイヤ手組み交換にトライする際に参考になればと思います。

手動チェンジャーも、バイク用となるとなかなか良いのが無いんですよね・・。

 

なぜMOTOGPライダーはイン側の足を出すのか

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暇なので、最近よく言われてるタイトルにもなっている事を全力で考えてみました。

もちろん、私はモトGPライダーではないので想像の範囲です。が、私はバリ伝の画が普通に動いて見えるほどなりきり妄想に入り込むのは得意なので、その物がどういう運動状態に陥っているのか想像するのは得意であり好きです。この手の話は誰かが「こうだ!」という意見を出して、「いやそれは違う!」という反論の意見を生まないと謎の解明が進まず、いつまでも「なんとなくイン側の足を出しているらしいよ」という、くだらない解答を産み続けるだけになりますので、非難覚悟でこれに決着をつける一石を投じたいとも思います。

 

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オートバイがコーナーに向けてブレーキングしている時、ライダーの体はこれからコーナーの曲がろうとする側へオフセットされ、曲がりはじめる体制をとった状態がとられます。少しでも早く、強く曲がり込めるようにイン側にオフセットするのです。この時、マシンはセルフステアによる逆操舵状態となります。ステアリングがコーナーとは逆の方向にわずかにハンドルが切れた状態で直進している状態であり、ブレーキがリリースされることでまたセルフステアでハンドルがコーナーの側へと切れてコーナリングフォースを得ていきます。

ここで、近年のモトGPマシンの旋回力が異常に高められていること、モトGPのタイヤのグリップが異常に高められていることにより、逆操舵状態といえどもコーナリングフォースが高く発生してしまっていることにより、直進ではなくアウト側に飛び出そうとする力がかなり強く働いていると思われます。これは市販車レベルでサーキットをスポーツ走行程度のペースで走っても感じにくいでしょう。

もっとも重く、最も速い、扱う運動エネルギーが最も高いモトGPクラスやスーパーバイククラスでのみ顕著に見られる動作であることが証明しています。つまりライダーはコーナー進入でマシンを直進させる事と戦っているわけです。この時、マシンを直進させるために、下半身をすぐ曲がり始められるように大きくイン側へオフセットしつつ、上半身はまだ曲がりはじめないようにマシンのセンターや少しアウト側へ残し、直進させるためのバランスをとるという、上半身と下半身で相反する行動によってバランスをとります。これが通常のマシンでのコーナー進入動作です。今までは「早く早く!」と直進しつつインに倒れ込もうとするマシンをライダーが「まてまて」という具合に抑えこんでいれば良かっただけなのが、モトGPマシンでは「早く早く!倒れさせてくれないなら逆操舵力でアウトに行っちゃうよ!」と直進ではなくアウト側に飛び出ようとしているです。ここで前述したモトGPマシンは逆操舵状態でのフォースがとても大きいため、この動作だけでは直進させることがとても難しくなっている事がわかるでしょう。

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そこで、足出しとなるのです。本来ライダーはコーナーへのブレーキング時に下半身をインへオフセット、上半身をセンターやアウトへ残すことによって直進性をキープしてきました。では、この強烈な逆操舵状態の時にアウトへ飛び出そうとする力と戦うにはどうしたら良いのでしょうか。上半身も下半身もそれぞれに精一杯の配置で動作をしているのでマシンホールドのためにもヘタに動かせない、そこでイン側の足なのです。

本当にモトGPの逆操舵時にそんな力がかかっているのか?直進させるだけにそんなに難しいのか?その疑問はストレートを走るモトGPマシンを見ればわかります。分かりやすく言うと茂木サーキットのダウンヒルストレート、直前のヘアピンを立ち上がってきたマシンはまず間違いなく一旦観客席と逆のウォール側へ蛇行し、それからダウンヒルストレートを下りながら次の右90度コーナーのためにアウトである観客席側へまた蛇行します。ヘアピンを立ち上がって全力加速するモトGPマシンには直前のヘアピンを立ち上がってきた右コーナリングコーナリングフォースが残っており、まだそれが残った状態で全力加速をかけるので立ち上がってもマシンは右へ右へとまだ曲がり続けようとしてます。フルスロットルなのですからその力はそうそう開放されません。唯一、これを防ぐとしたら「スロットルを一旦ゆるめること」です。しかし全力で走るのがレースですからスロットルを戻すと遅くなりレース的にはありえない(あるまじき)操作になります。スロットルをゆるめてストレートを直進させると事と、そのまま全開加速でストレートを蛇行させて走ることを天秤にかけた結果、距離的に無駄にも思えるがトラコンなどであれこれいじらずにストレートは自然に蛇行させてしまったほうがトータルで良いというある種の結論に達したのでしょう。ちなみに、昔からレースの世界では「ストレートは競り合いの駆け引きを除き、無駄に蛇行などせず、フルスロットルでサボらずしっかりまっすぐ走ること」が鉄則中の鉄則とされています。この鉄則さえも反故にしてしまってOKというモトGPの特殊さが垣間見える一面です。

 

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ブレーキング状態の時、昔からイン側の足は自由でした。レーシングシーンにおいてタンクを両足ではさみこむニーグリップという役目はほとんどがタンクにひっかけたアウト側の内股とマシンに沿わせたアウトの足全体で成されることであり、イン側の足はほぼ力のかかっていない、いつコーナーに向けて膝を突き出していくか、倒しこみのタイミングを図るための役目が主だったのです。これを結構ハッキリやっていたのがケビン・シュワンツミック・ドゥーハンなどで、倒しこみの際にハッキリとして内足外し動作からイン側のステップを踏み直すという動作を行っていたのが確認できます。これを「シュワンツなどは現代のイン側足出しを当時からやっていたのだ」という意見もありますが、これは違います。当時はまだ軽量で現代と較べてパワーの低い(発生する運動エネルギーの低い)2ストロークマシンだったこともあり、ブレーキング時の逆操舵状態で産まれる力はそれほど脅威ではありませんでした。なので、シュワンツの足外しは単なる倒しこみの最適なタイミングをとり、素早くクイックにマシンを倒しこむ運動を発生させるためのものです。(正確に言うとイン側の足による上半身への支えを、イン足をステップから外すことで一気に失わせ、上半身をイン側へ落下させてコーナリングフォースを産む急激な重心変化をマシンへ与える運動を行いやすくしている)。
あの当時やっていた一瞬の足外しと、現代の内足外しは主旨が全く違います。

 

現代の話に戻りましょう。ここで比較的自由だったイン側の足、これをコーナー進入時にマシンを直進させるためのバランサーとして活用しているのが現代の内足外しの正体です。本来、ライダーはイン側の足をブラーンと出しているつま先の位置、そこの垂直な線の位置に頭の重心を置きたいのです。ライダーはそこを本来のマシンを直進させるための重心点・バランス点と感じているのです。しかし、上半身はマシンがまだ倒し込まないようにアウトに位置させておかないと、いざ倒しこみのための上半身をイン側へ落とす重心移動量が足りなくなってしまいます。頭は今の位置からは容易に動かせません(あるライダーを除いて)。そこで残されたバランサーはイン側の内足だったのです。これを最初に発見したのは、当時誰よりも早くモトGPマシンに乗り出してモトGPマシンというものを体感し経験を積んでいたバレンティーノ・ロッシだったのは当然の事だったのかもしれません。バレンティーノ・ロッシバイクを楽しみ操る、自由な感性・発想力がそうさせたといっても過言ではないでしょう。マルク・マルケスもかなり大胆に内足を出しますが基本的にロッシとタイプは同じであり行動理由は同じと考えられます。内足外しは比較的長いストレートの後などの強烈なハードブレーキングからのコーナリングへ移る際などに左右コーナー関係なく顕著に行われているのが、この仮説を立証するものだと思います。つまり逆操舵時にアウトへ飛び出す運動エネルギーが高く発生する地点です。

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また内足は外しはリアの荷重を積極的に抜いてmoto2的にリアスライドを誘発させ向き変えするためのものという説もありますが、これも頷けます。それは内足外しでギリギリまで我慢してから、内足をまたステップへ戻した時に発生します。まさに倒し込もうとしている時であり強大な逆操舵力が復活します。と、ここでいよいよコーナーへの進入のためにフロントブレーキを緩めたらどうなるでしょう。それまでの逆操舵力は一気にセルフステアされ今度は逆のインへと向かうステアリング動作に変換されます。すると、マシンのフロント側が急激にインへ向くことにより、リア側が反動で一気にアウトへ振り出される力が発生します。これがリア荷重抜き説に繋がります。あのリアの振り出しはリアプレーキによるものだエンジンブレーキによるものだとか言われていましたが、私が言うには「セルフステアの逆操舵復帰力で降りだしている」です。

※モトGP黎明期のロッシ+RC211Vのコーナー進入時リアドリフトはエンジンブレーキコントロールがまだ未熟だった為だと思います。

そしてまさに、現代のGPマシンが見せている、コーナー進入時にリアをアウトへ見事に降りだしての強烈な向き替えが行われています。もちろん、これには車体セッティグ、エンジンブレーキコントロールなどちょっと想像すると気が遠くなるようなセッティングコントロールが必要なのが見えてきます。ワークスチームの電制はこういうノウハウをもっているのが大きいのではないでしょうか。

 

最初のコーナーが左、抜けて少しだけ長めのストレート、次が右コーナーという場合。ストレートで切り返して右コーナーに進入する際、そこまで走ってきた切り返し後のコーナリングフォースにより右コーナー進入前にアウトへ飛び出しそうな時も、それに対向するために内足は出される事が多いです。

 

この強烈な逆操舵力に対抗するための内足外し、我々一般ライダーにも体感しやすい例を上げるとすれば、こういうシチュエーションがあります。
オートバイで走りだし、すぐに右折する必要がある場合を思い出してください。道が混んでいてコンビニ駐車場などから発進してすぐに右折して加速していく必要がある場合などですね。「走りだして曲がってすぐに加速していく」ここが大事です。
で、この時、あなたはこんな行動をとったことはないでしょうか?

「右に曲がって加速しながら左足をステップから外しアウトへ突き出したり、ぶらぶらさせたままにしておく。」

なんとなく見に覚えはないですか?私自身もやります。昔から無意識で自然とやっていて、これが加速している時に安定するんです。「なんでやるんだろう?なんで左足ホールドを外してまでやってるのに安心感があるんだろう?」と。確かに両足をステップに乗せたまま右へ加速していくより妙に安心感が強く、そして確かにバランスもいいのです。

自分でも考えていたんですが、この内足外しを考えるようになってアッ!とわかりました。マシンがまだ低速で不安定な時に右へ曲がり、そこから加速して安定性が出るまでの間、ぶらぶらさせた左足はまだ低速で不安定なバイクが右側に倒れ曲がり過ぎないためのバランサーとしての役目をしていたのです。そしてモトGPライダーはこの我々一般人が右に曲がろうとして左足をブラブラさせている時、彼らはまさに左コーナーを曲がろうとその直前にマシンを直進させたようと戦っていると想像してください。彼らモトGPライダーは右へ曲がる力(逆操舵でアウトへ飛び出そうとする力)と対抗して戦っている。その時の姿勢はまさにモトGPライダーがコーナーに進入する際の内足外しの形ではないですか?

 

また、内足外しを切り返しに積極利用するライダーもいます。私の見たところではカル・クラッチローとダニ・ペドロサが短いS字切り返しなどでも最初に切り返す方向の足を外して突き出して切り返しの重心点をつま先付近に置き、その足を収納することで一気に切り返しのためのフォースを産んでいる「応用技」というものも見られます。ペドロサはコーナー進入時はあまり足は出しませんが、こと切り返しのところでは誰よりも積極的に放り出し、切り返しの運動に利用するようです。ペドロサ自身の体格的な不利を補うために彼が見出した手法ともいえるかもしれません。

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クラッチローは進入・切り返しどちらも派手に足を出します。ただ、これは見たカンジでは「乗れている感」を演出する目的のほうが多く感じられ「自分を鼓舞する」意味で行われている節があります。

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内足外しはある意味「ライダーとして乗れている」事の体現・証明でもあり、それを自ら行うことによって自身への走行中の精神的カンフル剤としての効能も確かにある動作なのです。この区別は「足が中空で運動エネルギーとバランスされてブラブラと揺れているか」「自分の意志でバランスとは関係なく筋力のみで突き出し保持されたものであるか」である程度区別することが出ます。これが分かるとライダーの心理状態も透けて分かってくるので、レースを見るのもまた一段と深みを増してきます。

 

 

 

と、ここまで書いてきましたが、この内足外しを語る上で避けて通れないライダーがいます。

 

ホルヘ・ロレンソ

 

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もう、意味はお分かりの方もいると思います。ホルヘ・ロレンソ選手は現代のモトGPトップランカーの中で唯一、内足外しを行いません。

※正確に言うと、モトGPクラスに昇格して二年ほどは流行しだして内足外しにトライしていた様子はあります。が、ある頃からロレンソ選手はパッタリと内足外しは行わなくなります。それはチームメイトから宿敵ライバルへと存在が変貌したロッシ選手との関係も少なからずあると思われ・・。

 

ロレンソに限ってはなんで内足外しをしないの?これは内足外しが行われる謎と共に必ず出てくる質問であり、回答者を悩ませていました。宿敵となったばすのロッシが考案した内足外しテクニックを真似したと思われたくないから、チャンピオンシップで同等の立場になった自分のプライドが許さないからという冗談ともとれない理由があるにはあるのですが、私は意外とアリだとは思いますが・・。

 

とまあ、冗談(!?)はさておき、私がロレンソが内足外しを行わないと思われる理由を上げてみます。これは本当に難しい、ここまでで最も「単なる推測」の域になってしまいますがあえてチャレンジしてみます。

ロレンソ選手が内足外しを行わない理由、それは「頭の位置」です。

何の事かというと、コーナー進入ブレーキング時の頭の位置です。ロレンソ選手はGP250時代からかなり「イン側へ大きく頭を落としこむスタイル」を身上としており、どちらかというと頭の位置エネルギーをそのままインへバタンと倒すことによってマシンを倒しこみ、また体全体ではなく頭の微妙な配置でコーナリング中のバランスをとるタイプのライダーだと思われます。昔で言う清水雅広、坂田一人、などに代表されるようなドングリ乗りの更なる進化系という奴で、当時のマシン性能の上では頭は必ずトップブリッジの上のセンターに残すべしという鉄則から外れたタイプで、けして褒められたスタイルではありませんでした。

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しかし、まだ古い「頭センター」の時代から大きくインへ頭を倒しこむスタイルでチャンピオンを何度も獲ってきましたから、とにかくバランス感覚の身体能力・感性は並外れたものがあると思われます。ではなぜ頭なのか・・。実はロレンソ選手も内足外しと同じことをやっているのです。やっているけどそう見せていない、内足のかわりに使っているのは彼の武器「頭」なのです。

 

けっこう上で私はこう書きました。

「本来、ライダーはイン側の足をブラーンと出しているつま先の位置、そこの垂直な線の位置に頭の重心を置きたいのです。ライダーはそこを本来のマシンを直進させるための重心点・バランス点と感じているのです。」

アッ!!と思ったかた、それが正解です。

そう内足を出せなかったら、頭の位置で同じことをやる方法もあるにはある。本来、それが出来ないことによる内足外しというバランスの打開策、ロレンソ選手は本当にこれを頭の位置でこなしているのです。

ロレンソ選手のコーナー進入時を観察してみると分かるのですが、コーナー進入へオフセットしている段階で頭の位置がすでにかなりインに置かれているのが分かります。他のライダーは旧来通りのセンターかややアウト側へ上半身をひねるようにして配置されています。前記したように頭の位置エネルギーを倒しこみの力へと変換させたいためです。これをロレンソ選手はまさに他のライダーが足を突き出したつま先位置の垂直線の上に頭をすでに配置していると思われます。つまり、これで内足外しと同じバランス効果を出しているのです。そして、ロレンソ選手が元々持っていた起きあがりこぼしのようなバランス感覚で倒しこむことが出来ているのです。これはロレンソ選手のやってきた乗り方だからこそできる方法で、内足外しをしなくとも同等の速さを叩き出していると納得できます。

また頭の高さなど位置調整が不確実になる「ステップから不用意に足を外すこと」が彼に合わず、嫌ったのも内足外しへのトライをやめた理由の一つではないかと思われます。要は内足外しをやってみたら、今まで自分の培ってきた頭の位置調整のノウハウで同じことができるのが分かったからやらなくなった、というところではないでしょうか。

また、これも上で書いた

「右に曲がって加速しながら左足をステップから外しアウトへ突き出したり、ぶらぶらさせたままにしておく。」と妙な安定感がある。

これはコンビニから出て行く話ですね。これもロレンソ選手なら左足を外さずに頭の位置を大きくアウトに持っていくことで同じバランスをとる行動を彼ならとることでしょう、こんなふうに(あくまで想像)

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 読者の中でも「俺はステップに足乗せたままでは不安ないけどなあ・・」と違和感をもっていた方はロレンソタイプの頭位置のバランス感覚重視でバイクを操るタイプではないでしょうか。ライダーによって様々な操作がありますが、バイクを操る操作としては一緒の事が多いですね。

 

 

ここは私のブログですから、私の思うことを好きなように書いてみました。

読み解いて頂けたら幸いです。

 

私なりに考えてこれでは?と得た結論ですが、どこまで合っているかモトGPライダーに聞いてみないと分かりません。この考察の何かが皆さんの思考の助けになり、謎の解明に一歩進んでくれたらと思います。

 

PS

誤字脱字含め、考察内で微妙な修正はあると思います。

 

電子制御デバイス ABS、DTC、EBC、パワーモード

899パニガーレに搭載されている、

 ABS(アンチロックブレーキシステム)

 DTC(ドカティトラクションコントロール)

 EBC(エンジンブレーキコントロール)

 パワーモード(RAIN・SPORT・RACE)

・・について書いてみたいと思います。

 

http://www.ducati-hamamatsu.com/jp/staff/bw_uploads/tm_DSCN0868.jpg

 

 

ABS(アンチロックブレーキシステム 3段階)

 介入弱-1 2 3-介入強

 899パニガーレではABS動作は三段階に設定できます。私はデフォルト値を変更し、最強(最もよく介入する)に設定しています。デフォルトではレインモード以外では最強ではないのですが、公道ですし、最大限に動作させてみたいと思い最強に設定してました。

 普段、主に実感するのはリアブレーキでの動作です。フロントは故意にロックさせることはないので動作経験は正直、ありません。ペースを上げて走っている時など、リアをけっこう使うのですが(以前はほとんど使わない派だったが、近年使う派に転向)、コーナーの進入でリアが浮き気味になりロックしかけた時など、コココココッと動作している感触を足裏にけっこう感じます。

また、コーナー中でスピード調整のために踏んだ時なども動作しているのを感じます。リアブレーキを操作する上での障害となる「リアのロック」におびえずに積極的に使っていけるというのはいいのではないでしょうか。

 

◯DTC(ドカティトラクションコントロール 8段階)

 介入弱-1 2 3 4 5 6 7 8-介入強

 電子制御デバイスの代表格といえばABSを抑えてトラクションコントロールという認識は高いでしょう。ドカティでは略称でDTCと呼んでいます。

動作するとメーターパネルの最上部中央にあるオレンジのLEDランプが点滅します。

 8段階に設定できるうち、私は普段使いから最強(に介入する)に設定しています。

 理由はABSと同じなわけですが、実際に乗ってみたりユーチューブなどで確認して思ったのは「中間レベルでもなかなかDTCは動作しない」ということです。ましてレースモード(DTCは最弱介入設定)で走行するサーキット動画を見る分には「縁石に激しく乗った時くらいしか動作していない」ということです。立ち上がりではアスファルト上ならいくらワイドオープンしても特に作動していません。サーキットで全力走行していてもなかなか効かないレベル設定なら公道ではまず動作しないでしょう。スポーツモードの中間設定でも公道走行でごくごくたまにスリップして動作するくらいです。

積極利用したいなら最強介入にしてガンガン使いたいと思いました。

 最強介入ですと、交差点など曲がる時に少し元気よくアクセルを開けて立ち上がるだけでバババッと動作します。交差点内によく砂などがばらまかれている時などは助かりますね。また普通に峠でスポーツライディングをしている時なども、立ち上がりで思い切って大きめにアクセル開けていくとバババッッと動作します。動作してもあからさまに失速するように失火してガクンとパワーカットを感じるわけではなく、自然に間引き失火されている感覚です。よく全盛期のKCストーナーがトラコンまかせでコーナー立ち上がりで躊躇なくアクセルを全開にする「電子制御の申し子」みたいに少し悪く言われた時期がありましたが、ああこういう感覚だったのかなぁと思います。

 ただ、アクセルを気軽に全開にできるといっても、電子制御のない時代からのバンク角に応じてアクセルを開けていくという基本は身についていないとなりません。それができている上での上乗せする感覚でのガバッです。ただトラコンだから、とただ全開にしただけでは立ち上がりでふくらんで道から飛び出すだけです。ドカティは元々、このガバッからのツキとエンジントルク特性がとても良いので、それにトラコン動作を上乗せする感覚でこの瞬間は並列4気筒に比べても非常に楽しい瞬間となっています。

 また、これは偶然に起こったのですが、ワインディングを走行している際に立ち上がった先に舗装が一部はがれてそこに砂が浮いているという、壊れた路面が補修されずに放置されているところを通過するという機会がありました。けっこうなペースでしたからコーナーを立ち上がって「あっ!」という間に通過してしまったですが、その際にもすぐさまトラコンは作動してくれたの確認しました。砂の上での空転を抑えてくれたのですが、本当に瞬間の遭遇と通過であり、多分制御が入っていないバイクでもコケなかったとは思います(それなりのホイルスピンにはヒヤッすることでしょう)。

しかし、その違いは「人間がアッ!!と思うだけで全然操作ができなかった」時間にも反応して制御してくれたということに、私は改めて「すごい、助けられた」という実感を感じました。人間である以上、どんなエキスパートライダーでも反応しても体が動くまでいかない「どうしようもない時間」いうのは存在します。もしもあれが転倒に繋がるような大きな砂の路面だったら・・・。毛嫌いせず、いつかくるアッ!のために私は電子制御を積極的にONにしておくのはアリだと思います。ONにして「電子制御が動作している」ことを忘れてしまってもいいんです。

 

◯EBC(エンジンブレーキコントロール 3段階)

 介入弱-1 2 3-介入強

 これは少々分かりにくいデバイスでありますが、アクセルオフ時に完全にはエンジンへの混合気供給をカットせず、意図的にエンジンを加速に繋がらない程度に回しておくことでエンジンブレーキの発生を抑制してバックトルクを打ち消すシステムです。バックトルクを制御する補助システムのようなものです。補助と書いたのは、今ではその役目はほとんどスリッパークラッチがバックトルクリミッターとして担っているからです。バックトルクリミッターを構成するものが(スリッパークラッチ+EBC(燃料供給コントロール≒rブリッピングコントロール)であり、EBC+ブリッピングコントロールはあくまで補助的な仕組みです。

 899パニガーレではスリッパークラッチは装備されなかったものの、補助システムであるEBCだけは装備されました。これを最強(エンジンブレーキが最も弱まる)に設定するおかげで、エンジンブレーキのかかりかた、アクセルオフ時の前へのつんのめり感、リアのホッピング状態への陥りやすさがだいぶ緩和されます。

慣れないとアクセルオフ時に少し前にグッと出ようとするような感覚を感じて慌てるところもありますが、すぐライトバイワイヤに慣れるので大丈夫です。多少のコーナーならいちいちブリッピングしたりせずに、ノーブリッピング半クラシフトダウンだけで行けるようにもなります。

ノロノロ運転巡航などでアクセルON/OFFのガクガクを繰り返すと体への負担がジワジワ貯まるのですが、これを効かせることで幾分楽になると私は思います。50km/h前後をキープされて延々と走られてしまうのが普通のSS車以上にパニガーレ乗りにとってはこの上無くキツい(笑)。ドカティのツインエンジンは特にエンジンブレーキが強く制御も難しいので、EBCは最強に設定していても特に問題は無いと思います。エンジンブレーキが効かなくて怖い思いをしたことは無いです。

 後継機である959パニガーレではスリッパークラッチが装備されて更に制御がしやすくなり、うらやましいところではあります。しかしシフトダウン方向のオートブリッパーは装備されなかったので、コスト重視のミドル(?)クラスとしては仕方ないところですね。その点、1299パニガーレはオートブリッパーまで装備しきってバックトルクリミッターシステムとしては一つの完成を迎えたと思います。

 

◯パワーモード(RAIN・SPORT・RACE 3段階)

 最近、普段はSPORTモードで走っています。
RACEモードとの使い分けは

SPORTモードは公道用に各種電子制御デバイスを自分用にカスタマイズ設定したモードにしておき、それらを一気にカットorキャンセルして走りたい時はRACEモードデフォルト状態にして走るという使い分けです。パワー的にはRACEモードとSPORTモード、ほとんど体感できる差は無いと思います。大きな違いは各種電制デバイスがサーキット用に最弱(ぼぼ介入無し)に設定されるという点でしょう。

 またRAINとSPORTモードはハッキリと体感的に違いを感じます。RAINだとエンジンのツキが落ちて、急かされることなく少し落ち着いて乗れるという感じですね。更に各種電制もデフォルトで介入最強に設定されます。残念ながら雨で走ることになってしまった場合は、RAINモードへきっちり入れて走ったほうがパニガーレを雨でも漫喫して走ることができるでしょう。また冬眠明けなどでまだ体がバイクに慣れていない、走りだしの時などもRAINモードのマイルドさが役に立ちます。ディーラーの貸出し試乗車がよくRAINモードに設定されているのはこのためでしょう。

 また、これはあくまで私の感覚ですが、パワーモードが低くなるほど発熱が抑えられる気がします。理屈から考えるとそうですが、確信はなくあくまで感覚的なものです。例の股下の熱量がパワーモードで変化していると思うので、渋滞続きでは積極的にRAINモードにするのはアリだと思います。

パワーモード設定は基本的に止まって行いますが、走行中もアクセルをOFFにしてブレーキもかけない(完全な惰性走行時)状態ではできますが自己責任にて。

 

 

以上、私なりの電子制御デバイス ABS、DTC、EBCのご紹介と活用術でした。

運を天にまかせて

なんの話かと思うようなタイトルですが、今回は一般公道での運転について話します。

 

よくあるタイプの話なのですが、道路工事現場で片側交互通行になっている「工事業者が設置した信号機」についてです。最初に言ってしまいますが、この工事業者が設置した信号機(よく残り秒数がLEDで表示されているもの)は守らなくとも道路交通法規上は信号無視違反にはなりません。

http://ks.c.yimg.jp/res/chie-que-10125/10/125/305/490/i320

先日、パニガーレでツーリングをしている時、川沿いの狭い県道でこの信号機が設置されていました。おそらく、崖の法面が崩落したとかで修復工事しているのでしょう。日曜なので現場作業員はおらず、この信号機だけが工事現場の往来の安全を守っている状態です。工事区間はなんとか見渡せるくらいの全長300~400mくらいの遠さで向こうの信号機のあたりも見えます。私は先頭から三台目に待っていました。

 

果たして、ここからあなたはどちらの目線でこの記事を見るでしょうか。

 

「ああ、工事区間が長いしけっこう長い信号だな、1分は待つパターンだ・・」と思い、私はニュートラルに入れハンドルから手を離しそばを流れる川などを眺めて完全にリラックスしていました。どうせすぐ動く気配はなかったですしね。どうせならエンジン切って待ってもいいくらいでした(パニガーレ、アイドリング放置すると本気で股下が熱いですし)。向こうからの対抗の車が工事区間を抜け通りすぎていきます。

 

と、先頭の軽トラックがピクッと動きました。

「あれ?もう?」と思いつつギアをローに入れ、私も発進待機します。先頭から動き出し、私も前進をはじめました。「しかし、早くないか・・??」予想は当たりました。

私が信号のところに来た時「やっぱりか」と思いました。信号はまだ赤だったのです。一番前の軽トラは赤信号を完全無視して片側交互通行区間に入っていったのです。しかも、残りの秒数は「20秒」ちょっと待てよ、とさすがに私は信号機のところでストップです。ところが二台目の車はついていってしまいます。さらに、私の後ろで待っていた二台の車も追い越して行ってしまいました。残り5秒くらいで待ちきれずに出る堪え性の無い人はよく見ますが、残り20秒もあるのですよ・・。相手もギリギリで工事区間に突入していれば余裕で鉢合わせする時間だというのは、目の前の工事区間の長さを自分の目で見ていればわかるはずです。

 

一枚目は動き出した直後(私は三台目)、ここらかも向こうの工事用信号の赤が見えます。先頭の白い軽バンは赤で完全に進入しています。私が赤信号のすぐ前まで行った時に残り20秒でしたから、この時点では「赤信号は残り30秒はあった時点で白い軽バンはスタートした」と推測されます。次のシルバーの車もついていってしまいます。

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◯赤信号を確認して驚きすぐ脇に停止しようとするも、後ろの車も驚いて停まった私を平気で追い抜いていく。

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この時点でも余裕でまだ赤信号です。

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しかも、後続の車も赤信号を分かっているのかいないのか、疑いなくそれについていってしまう。信号を見ていない、自分の頭で状況判断ができない人たちなのでしょうか。この長い工事区間で残り20秒でもう対向車は来ない、という不確定要素満載の状況で「イチかバチか」に賭け行動する人には、巻き添えも食いたくないので近づきたくないものです。

 

信号を守らない人はこう強弁するでしょう「工事区間の信号は道交法上、守らなくても問題はないんだよ。」「いつも通っているから、残り20秒くらいで区間内に対向車がいなければ、行ってもほぼ大丈夫と分かってるんだよ」と。

 

なぜ、こんなしょうもない「賭け事」に大事な運と命を賭けられるのでしょうか。

 

人の持つ運というのは強弱があります。これは皆さんが生きてきた中でも感じているでしょう。人はけして全てにおいて平等ではない。理屈で表せない運によってもそれは左右される。そして人生は人それぞれのレベルで成功を収め別れていく。これは皆さんがどこかで分かっていることだと思います。皆が皆、飛行機のパイロットや芸能界のスターやプロスポーツ選手にはなれない「そういう星の下には生まれていない」というのを思春期に現実として直面し、一度絶望するのと同時に胸に刻みこむことです。

 

そして、若い内は強烈な運に恵まれているとしても、歳を重ねる中でその運はどんどん少なくなっていきます。輝いたスターが自己を磨かず晩年で凋落したり、スポーツ選手が引退後に豪遊し、薬物に溺れて残した偉大な記録をすべてフイにしてしまうのと同じです。運が並の人間は早くにそれを実感し、運の強い者も自分が老いていくのと同じように強運も弱まっていくのを実感するのです。運には人それぞれ強弱があるが、効力の有る回数には限りがありその点においては平等である、というところです。

 

不慮の事故というものがあります。

自分に全く非のない状況でも、「なぜ!?そのタイミングで」という具合に災いが降りかかってきて亡くなってしまう人がいます。山道を走っていたら落石が「たまたま車に直撃した」、工事現場に通りかかったら「たまたま工事用巨大クレーンが倒れてきて潰された」、「高速道路の橋桁の落下事故がたまたま起きて潰された」「精神的疾患・又は違法薬物を常用している人間の運転する車と関わってしまった」。ニュースで流れるとなんともいえない気分になるでしょう。だれが言っても「なんと運の悪い・・」という言葉しか出てこないでしょう。落石対策は行われていたのか、事故防止対策は行われていたのか・・そんな表面上の決着をつける言葉で結末を濁され「そんなこと言ったってキリが無い」という空気で終わっていくニュースです。しかし私に言わせれば「運を使い果たしていた結果だから」です。

 

https://web.pref.hyogo.lg.jp/af25/images/000023442.jpg

どこかで調子に乗って「不確定要素・危険」に自ら飛び込むことを繰り返し、運を無駄遣いしていると、この「たまたま」にいつでも巻き込まれると私は思っています。スピードを守っているとしても「信号でのフライング発進」「一時停止で完全に止まらない、左右を見ない」「ウインカーが周りから見えるようしっかり出さない」「慢性的な黄色信号の強引な突破」「必要もないすり抜け行為の常態化」など、スピードが遅いだけで、見た目だけの安全運転な人なんていくらでもいます。漫然とした運転は運の無駄遣いに支えられていると自覚しましょう。そして、運を使い果たしたその先には「たまたま」という日が待ち受けていることも。

 

戻りますが、前述した信号を無視していった車たち、こちらはリッターバイクですので普通に走ってもすぐ追いつくので後ろから観察してみたのですが、それほど飛ばしていなかったのですが、すぐに二度ほど危ない目にあっていました。一度は道路脇から、完全に轢かれても構わないというくらいベストなタイミングで歩行者が道路を横断しはじめてビックリブレーキ。もう一度は駐車車両を追い越そうと大きくはみ出してきた対向車にベストのタイミングで鉢合わせして驚いて急ブレーキ。

こういうことなんですよね、運を無駄に使った後というのは。きっとこういう細かい危ない目をコツコツと繰り返していつかプツッと運命の糸が切れるように重大な「たまたま」の瞬間が訪れるのです。なんで私がこんな目に!?、終わりの瞬間にそう思うのでしょうが、よく振り返ればそれは当然のことなのです。

 

自分の技量以上でコントロールが及ばないような、カッとした無謀な運転・行動をしている時にできればこう思ってください。こんな不確定要素に運と命を放り込む「意味と価値」が今、本当にあるのかどうか。

 

熟慮した上で意味を見出し確信を持って「ここぞ!」という時に賭ける運はいいのです。今回の信号無視のような、なにも考えずにノープランでイチかバチか的な運の無駄遣いは人生を短くしているだけということに気がつきましょう。私はその人に「たまたま」が訪れても同情はしません。どういう運の使い方をしてきたか残念ながらわかるからです。その人が無駄にそこで終わった人生の墓標を横目に、私は運を大事に使い自分の人生を歩んでいくだけです。

 

私を非情な人間としてこのブログから立ち去ることも止めません。

ただ、人生で限りある運を無駄遣いしている人があまりに多いので記事にさせてもらいました。

防寒ウェア装備考 2015 - 2016年版

電熱グローブ真っ最中でありますが、少し脱線して防寒ウェアに関する考察も書いてみたいと思います。

 

現在の私の考え方は「余計な重ね着はしない」ということです。

通常の私の着方では

上半身 下着から

  Tシャツ→保温速乾発熱素材の長袖→アウター3シーズンジャケット

下半身 下着から

  パンツ→プロテクター内蔵アンダー→アウター用ジーンズ(一般的なもの)

春・秋(最低気温15度付近まで)などはこのようになります。

夏の最盛期以外は基本的に中に長袖は常に着ます。
多少の外気温の上下に対して「あ、暑いな」「あ、寒いな」といちいち反応したくないためで、体温をブレずに一定に保たせるのが目的です。

pro.rs-taichi.com

夏の最盛期などは保温速乾発熱素材の長袖を着ないだけで、3シーズンジャケットは着ます。私は北国なのでメッシュジャケットというものは基本着ません。夏の最盛期、関東以南では平地で猛烈に暑く、高所に行くと涼しいというパターンです。対して北国では平地では普通に暑く、高所に行くと「寒い」という現象が普通にあります。この寒いという時にメッシュジャケットは致命的な装備になります。メッシュ+防風インナーという逃げもありますが所詮はアウターがメッシュ素材、寒さを防ぐ力は激しく落ちます。私は夏でも多少暑くとも3シーズンジャケットで通す派です。暑ければベンチレーションを全開かジャケットの前を少し開けて走れば充分です。高所に行った時、更に雨などといった時に暴風・防寒のできない厳しさを味わうくらいならば、そちらのほうがマシです。寒さと雨で本当に「もう嫌だ死ぬ!」と思えるくらい苦しんだ経験は嫌というほどあるので、暑さなんかより寒さ・雨対策を最重要視するようになってしまいました。

暴風防寒の最終手段としてレインウェアを着るという手段もありますが、本当に最終手段でありそのためにいちいち止まることはしたくありません。最初から3シーズンジャケットを着ておけばある程度は防げるのですから。しかし、本当に寒い時はレインウェアの右に出るものはありません。私は常にレインウェアをシートバッグへ入れて出かけるようになりました。

関東以南では夏はメッシュジャケットが必須なのでしょうが、北国では「あーメッシュジャケット欲しいな」と心底思えるのは大抵たった5~10日くらいのほんの一瞬の期間ですね。ですから夏もメッシュジャケットは必要なしとする人は多いです。

 

早春や晩秋など、気温が15度を切っている場合は以下のようになります。

上半身 下着から

  Tシャツ→保温速乾発熱素材の長袖→防寒インナー→アウター3シーズンジャケット

下半身 下着から

  パンツ→プロテクター内蔵アンダー→防風防寒インナーアウター用ジーンズ(一般的なもの)

 

 

www.webike.net

タイチのジャケットに付属の防寒インナーとヘンリービギンズの防風インナーパンツがプラスされるだけです。

ジャケットは各部のジッパー部を締めれば完全な防風になります。しかしジャケット表面から内側へ伝わる寒さへのガードにはならないため、防寒保温インナーを着込みます。これではじめて防風・防寒が完璧となります。

このジャケットに付属の防寒インナーというものが秀逸で、これだけで外出着のアウターとしても使える優れものでとても温かいので、防寒保温インナーとしてこれだけ単品で買う価値はあると思います。タイチの電熱ウェアのベースにもなっているようですからその暖かさは想像がつきます。単品販売はしてくれないようなのが残念です。ジーンズの下には防風保温インナー。基本SSというバイクは下半身はカウルにより風は当たりません。ネイキッドならば私も経験あるのですが膝周りに辛いほど寒風が当たります(フルカウル車に乗り換えた時の下半身の暖かさへの感激は今でも忘れられないです)。SSのカウルでも意外なほど下半身は風が当たらないのでこれで充分寒くないです。

余談ですが、パニガーレは車格はあれだけ細身なのにカウルの整流性能がいいのか、下半身に風の当たる感覚が大柄なカウルを装備していたCBRよりも少ないと感じるのです。これは未だに不思議に感じる部分です。加えて、シート下のあの「灼熱の熱さ」が冬は逆に心強い発熱源となるのです・・(笑)。

この装備で気温15度以下は走りますが、気温5度付近などこれでも本当に辛い場合などは迷いなくレインウェアを着ます。レインウェア、防風防寒保温に最強です。

 

以前の私であれば、寒くなったらセーターを着たりトレーナーを着たり、厚着をして今よりブクブクで走っていました。とにかく着ればいいだろという考え方です。しかし厚着をすることでかえって汗をかいて体を冷やしたり、着て出たはいいが途中で暑くなっても荷物になるので服を脱げなくなりそのまま走ったり、体温調整が出来ないなどで散々な目にあいました。着膨れをすることで動きが悪くなったり、締め付けられて血行障害になりかえって体が冷えるというパターンも。言えるのは、バイク乗りにとって余計な重ね着・厚着は悪でしかないということです。

「寒いから一枚追加で着るよりは、ネックウォーマーをつけてみろ」です。

寒そうでなんとなくもう一枚着込みたい、インナーを追加したいなと思える時、まずはネックウォーマーをつけてみることをオススメします。ネックウォーマーを持っていただけで急な冷え込みに対応できたなど、救われた経験は数えきれません。ネックウォーマーは常に持って出てほしいグッズです。首は血液のラジエター、首を風から守り、温めるということは動脈・静脈の血液を温めるということです。レースなどで天候の急変により、バイクの水温が下がり過ぎないようにガムテープをラジエターに応急的に貼ることと用途は似ています。ここを温めるだけでインナーを一枚追加したと同じような効果が得られます。これでいちいちインナーを着込んでしまうよりも手軽に体温調節ができます。暑くなったらサッと外せばいいんです。ネックウォーマーは最低限の薄着ウェアを実現する上で大事なキーアイテムとなります。高いものでなくともワークマンなどで売っているもので充分ですよ。

 

足元は

http://www.japex.net/gaerne/images/g-impulse/head_impulse.gif

GAERNE G-IMPULSE/ジー・インパルス

を使用しています。防水ブーツです。

ムレて暑いのでは?と思われますが、そんなでもありません。寒い冬にはかえって助かります。おかげで厳寒期でも足先が寒くて困ったことはありません。急な雨に対しては完璧な防水性能を発揮していて土砂降りでも浸水は一度もありません。ガエルネのブーツは本当に疲れにくく、私はa◯の固いブーツが合わなくて戻ってきました。出先で少し気軽に歩きまわりたいけど、足元はバイク乗りらしくブーツで固めたいという場合はこれが個人的にオススメです。

ここまでやって、真夏から初春晩秋まで、ほぼ満足のできるウェア構成に辿りつけました。

しかし、ここまでやってどうにもならない部分がありました。

「手」です。

ここだけはあれやこれや、やってみたのですが今まで決定的な解決策が見つかりませんでした。ハンドルカバーはやってみたのですが、確かにゴールと思いそうになりましたが使用できる車種に限界がある、製品ジャンルとしてまだ詰めが甘く思える部分があるという理由で除外しました。あとは手のシビレさえなんとかなれば・・信号で止まってシビれて痛くて手をニギニギするたびに常々思ってきました。

そして今回、前々から試してみたかった電熱グローブというものにトライしてみたのでした。「見た目に分からない必要最低限の装備で大きな効果」というコンセプトに非常にマッチした製品であり結果は良好と思えるもので、後日インプレッションはアップしたいと思います。

 

防寒の切り札!!電熱グローブ導入考 Part3(室内起動テスト・検証編)

 

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ここから以降は製品の使用上におけるメーカーの警告を一切無視した内容となります。
実際に試される場合は充分に理解・注意をして行ってください。
ここに書かれている内容を模倣したことによる物的・身体的損害が起こっても当プログ主は一切保証はいたしませんし、電熱製品メーカーからも当然、保証は受けられません。

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モバイルバッテリー(cheero PowerPlus2 10000mAh)を接続して電熱グローブ(RST595)を起動してみたところ。

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実際にはこれに袖口までの2mほどの延長ケーブルが追加されます。

 

 

実際に室内でグローブの起動テストをしてみて気がついてことなど。

 

-モバイルバッテリーの特性やメーカーの問題-

ここでまた気がついたことは、モバイルバッテリーからは基本1ポートから一つのデバイスへ電源供給を基本としたほうがいいなということです。例えば、Part2で紹介したDC二股ケーブルがありますが、これを使って

 

モバイルバッテリーの2.1Aポート → 二股 → 左右のグローブへ同時供給

 

とやると、モバイルバッテリーにより出来る出来ないがあるのがわかりました。具体的に言うとcheeroのPowerPlus2だと出来ましたがAnkerの第二世代バッテリーではダメでした。おそらく、1つのグローブにつき最低でも1.2Aあたり必要で計2.1Aの供給では出力マージンの少ないAnkerバッテリーは供給OVERで遮断されてしまうと思います。cheeroのPowerPlus2バッテリーは出力マージンが大きめにとっているので、たまたま出来たと考えるべきでしょう。少したつとやはり供給が遮断されてしまうのも確認しました。

www.amazon.co.jp

こういった1ポートあたりの供給量が大きめに設定されているバッテリーを使うと、二股供給も可能なのかもしれません。しかし忘れてならないのは使用しているDCプラグは定格電流が2Aであるということです。左右のグローブを1つのポートに接続すると計3A弱が定格2Aの二股ケーブル部分に流れることになってしまい、発熱によるケーブル損傷・発火の危険などの懸念があります。ここは私も追試しなければなりませんが、私はモバイルバッテリーの1ポートからは1デバイス(グローブ)のみへ供給するのが基本ベターだと思います。

 

いろいろ検証してみました。

★2.1Aポートと1Aポートのあるバッテリーでそれぞれ接続して試した場合、2.1Aポートでは出力最大(グローブのインジケータ赤)にすると手が痛くなるくらい発熱しました。1A側接続で最大にするとそこまではなりません。接続は1Aポートでも充分行けるのではないかと思います。

 

★1つのモバイルバッテリーの2.1Aポートと1Aポートそれぞれに同時にグローブを接続したらどうなるのか。

Ankerだと電源供給はされずグローブは起動しませんでした。cheeroのPowerPlus2だと両グローブ起動します。が、しばらくすると息絶えたようにグローブはOFFになります。モバイルバッテリーのポート出力の性能次第といえるでしょう。基本は1つのモバイルバッテリーにはグローブは1個だけの接続です。電熱ベストのような2A消費するものにはより最新でポートあたりの出力容量の大きいモバイルバッテリー接続が必要と思われます。

 

★2.1Aポートへグローブを接続、1Aポートへ消費電力の小さいデバイス(ドラレコなど)を接続したらどうなるのか。

グローブの最大発熱は単体で2.1Aポートへ接続した時ほど大きくはなりませんでした。途中で切れたりせずに動作は継続されます。可能範囲内ならばモバイルバッテリー側でポート間で供給バランスをとっている為と思われます。モバイルバッテリーの性能、接続するポート、同時に接続される機器により発熱は変化します。

 

★モバイルバッテリーメーカーによる違いはあるのか。

これは私の手持ちのバッテリー内で試した範囲のことですが、USB-DCケーブルのUSBコネクタと相性のあるものがありました。Ankerのバッテリーです。起動できる接続をしているのに起動しないものがありました。コネクタ部分の接続の相性か抵抗値が増えたことによる通電不良か。これはあくまで私見ですが、紹介したUSB-DCケーブルと使用するモバイルバッテリーはcheeroの第二世代以降を使用したほうが無難と思われます。あとは各人の手持ちのバッテリーで試してみてください。

(訂正)

Ankerのバッテリーが相性があると書きましたが、

item.rakuten.co.jp

よく調べたらこのパーツ↑、どうもコレのUSBコネクタがAnkerバッテリーのUSBポートと相性が良くないようです。 cheeroバッテリーとなら問題ないみたいなんですがね・・??、なので相性に振り回されず安全に行くならこれを使わずに、

 

item.rakuten.co.jp

 この2つを組み合わせて 

item.rakuten.co.jp

こっちのパーツの組み合わせを用いてグローブまで給電することをオススメします。こちらのパーツのUSBコネクタならAnkerのバッテリーとも相性出ませんでした(同じメーカーなのに不思議だなあ、まあUSBコネクタ部のパーツに違うの使ってるのは確認しました、だからかな)。将来的に車両から車載USB経由で電源供給を考えた場合(実はもう取り掛かりパーツ集めしていますが)も融通の効く運用ができるでしょう。

 

本稿(2016年初頭)ではモバイルバッテリーは鉄板のcheero推しをていますが、その時期によりメーカー間の性能優劣は刻々と変化していきます。これから先も小型化・軽量化・容量増大などしていくと思われるので、あくまで「今」最良のモバイルバッテリーをチョイスすることをオススメします。

 

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www.sengoku.co.jp

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モバイルバッテリーの選択はこちらなども参考に

mitok.info