Ducati 899 Panigaleいじり

Ducati 899 Panigale いろんな意味でいじりとバイク全般

電子制御デバイス ABS、DTC、EBC、パワーモード

899パニガーレに搭載されている、

 ABS(アンチロックブレーキシステム)

 DTC(ドカティトラクションコントロール)

 EBC(エンジンブレーキコントロール)

 パワーモード(RAIN・SPORT・RACE)

・・について書いてみたいと思います。

 

http://www.ducati-hamamatsu.com/jp/staff/bw_uploads/tm_DSCN0868.jpg

 

 

ABS(アンチロックブレーキシステム 3段階)

 介入弱-1 2 3-介入強

 899パニガーレではABS動作は三段階に設定できます。私はデフォルト値を変更し、最強(最もよく介入する)に設定しています。デフォルトではレインモード以外では最強ではないのですが、公道ですし、最大限に動作させてみたいと思い最強に設定してました。

 普段、主に実感するのはリアブレーキでの動作です。フロントは故意にロックさせることはないので動作経験は正直、ありません。ペースを上げて走っている時など、リアをけっこう使うのですが(以前はほとんど使わない派だったが、近年使う派に転向)、コーナーの進入でリアが浮き気味になりロックしかけた時など、コココココッと動作している感触を足裏にけっこう感じます。

また、コーナー中でスピード調整のために踏んだ時なども動作しているのを感じます。リアブレーキを操作する上での障害となる「リアのロック」におびえずに積極的に使っていけるというのはいいのではないでしょうか。

 

◯DTC(ドカティトラクションコントロール 8段階)

 介入弱-1 2 3 4 5 6 7 8-介入強

 電子制御デバイスの代表格といえばABSを抑えてトラクションコントロールという認識は高いでしょう。ドカティでは略称でDTCと呼んでいます。

動作するとメーターパネルの最上部中央にあるオレンジのLEDランプが点滅します。

 8段階に設定できるうち、私は普段使いから最強(に介入する)に設定しています。

 理由はABSと同じなわけですが、実際に乗ってみたりユーチューブなどで確認して思ったのは「中間レベルでもなかなかDTCは動作しない」ということです。ましてレースモード(DTCは最弱介入設定)で走行するサーキット動画を見る分には「縁石に激しく乗った時くらいしか動作していない」ということです。立ち上がりではアスファルト上ならいくらワイドオープンしても特に作動していません。サーキットで全力走行していてもなかなか効かないレベル設定なら公道ではまず動作しないでしょう。スポーツモードの中間設定でも公道走行でごくごくたまにスリップして動作するくらいです。

積極利用したいなら最強介入にしてガンガン使いたいと思いました。

 最強介入ですと、交差点など曲がる時に少し元気よくアクセルを開けて立ち上がるだけでバババッと動作します。交差点内によく砂などがばらまかれている時などは助かりますね。また普通に峠でスポーツライディングをしている時なども、立ち上がりで思い切って大きめにアクセル開けていくとバババッッと動作します。動作してもあからさまに失速するように失火してガクンとパワーカットを感じるわけではなく、自然に間引き失火されている感覚です。よく全盛期のKCストーナーがトラコンまかせでコーナー立ち上がりで躊躇なくアクセルを全開にする「電子制御の申し子」みたいに少し悪く言われた時期がありましたが、ああこういう感覚だったのかなぁと思います。

 ただ、アクセルを気軽に全開にできるといっても、電子制御のない時代からのバンク角に応じてアクセルを開けていくという基本は身についていないとなりません。それができている上での上乗せする感覚でのガバッです。ただトラコンだから、とただ全開にしただけでは立ち上がりでふくらんで道から飛び出すだけです。ドカティは元々、このガバッからのツキとエンジントルク特性がとても良いので、それにトラコン動作を上乗せする感覚でこの瞬間は並列4気筒に比べても非常に楽しい瞬間となっています。

 また、これは偶然に起こったのですが、ワインディングを走行している際に立ち上がった先に舗装が一部はがれてそこに砂が浮いているという、壊れた路面が補修されずに放置されているところを通過するという機会がありました。けっこうなペースでしたからコーナーを立ち上がって「あっ!」という間に通過してしまったですが、その際にもすぐさまトラコンは作動してくれたの確認しました。砂の上での空転を抑えてくれたのですが、本当に瞬間の遭遇と通過であり、多分制御が入っていないバイクでもコケなかったとは思います(それなりのホイルスピンにはヒヤッすることでしょう)。

しかし、その違いは「人間がアッ!!と思うだけで全然操作ができなかった」時間にも反応して制御してくれたということに、私は改めて「すごい、助けられた」という実感を感じました。人間である以上、どんなエキスパートライダーでも反応しても体が動くまでいかない「どうしようもない時間」いうのは存在します。もしもあれが転倒に繋がるような大きな砂の路面だったら・・・。毛嫌いせず、いつかくるアッ!のために私は電子制御を積極的にONにしておくのはアリだと思います。ONにして「電子制御が動作している」ことを忘れてしまってもいいんです。

 

◯EBC(エンジンブレーキコントロール 3段階)

 介入弱-1 2 3-介入強

 これは少々分かりにくいデバイスでありますが、アクセルオフ時に完全にはエンジンへの混合気供給をカットせず、意図的にエンジンを加速に繋がらない程度に回しておくことでエンジンブレーキの発生を抑制してバックトルクを打ち消すシステムです。バックトルクを制御する補助システムのようなものです。補助と書いたのは、今ではその役目はほとんどスリッパークラッチがバックトルクリミッターとして担っているからです。バックトルクリミッターを構成するものが(スリッパークラッチ+EBC(燃料供給コントロール≒rブリッピングコントロール)であり、EBC+ブリッピングコントロールはあくまで補助的な仕組みです。

 899パニガーレではスリッパークラッチは装備されなかったものの、補助システムであるEBCだけは装備されました。これを最強(エンジンブレーキが最も弱まる)に設定するおかげで、エンジンブレーキのかかりかた、アクセルオフ時の前へのつんのめり感、リアのホッピング状態への陥りやすさがだいぶ緩和されます。

慣れないとアクセルオフ時に少し前にグッと出ようとするような感覚を感じて慌てるところもありますが、すぐライトバイワイヤに慣れるので大丈夫です。多少のコーナーならいちいちブリッピングしたりせずに、ノーブリッピング半クラシフトダウンだけで行けるようにもなります。

ノロノロ運転巡航などでアクセルON/OFFのガクガクを繰り返すと体への負担がジワジワ貯まるのですが、これを効かせることで幾分楽になると私は思います。50km/h前後をキープされて延々と走られてしまうのが普通のSS車以上にパニガーレ乗りにとってはこの上無くキツい(笑)。ドカティのツインエンジンは特にエンジンブレーキが強く制御も難しいので、EBCは最強に設定していても特に問題は無いと思います。エンジンブレーキが効かなくて怖い思いをしたことは無いです。

 後継機である959パニガーレではスリッパークラッチが装備されて更に制御がしやすくなり、うらやましいところではあります。しかしシフトダウン方向のオートブリッパーは装備されなかったので、コスト重視のミドル(?)クラスとしては仕方ないところですね。その点、1299パニガーレはオートブリッパーまで装備しきってバックトルクリミッターシステムとしては一つの完成を迎えたと思います。

 

◯パワーモード(RAIN・SPORT・RACE 3段階)

 最近、普段はSPORTモードで走っています。
RACEモードとの使い分けは

SPORTモードは公道用に各種電子制御デバイスを自分用にカスタマイズ設定したモードにしておき、それらを一気にカットorキャンセルして走りたい時はRACEモードデフォルト状態にして走るという使い分けです。パワー的にはRACEモードとSPORTモード、ほとんど体感できる差は無いと思います。大きな違いは各種電制デバイスがサーキット用に最弱(ぼぼ介入無し)に設定されるという点でしょう。

 またRAINとSPORTモードはハッキリと体感的に違いを感じます。RAINだとエンジンのツキが落ちて、急かされることなく少し落ち着いて乗れるという感じですね。更に各種電制もデフォルトで介入最強に設定されます。残念ながら雨で走ることになってしまった場合は、RAINモードへきっちり入れて走ったほうがパニガーレを雨でも漫喫して走ることができるでしょう。また冬眠明けなどでまだ体がバイクに慣れていない、走りだしの時などもRAINモードのマイルドさが役に立ちます。ディーラーの貸出し試乗車がよくRAINモードに設定されているのはこのためでしょう。

 また、これはあくまで私の感覚ですが、パワーモードが低くなるほど発熱が抑えられる気がします。理屈から考えるとそうですが、確信はなくあくまで感覚的なものです。例の股下の熱量がパワーモードで変化していると思うので、渋滞続きでは積極的にRAINモードにするのはアリだと思います。

パワーモード設定は基本的に止まって行いますが、走行中もアクセルをOFFにしてブレーキもかけない(完全な惰性走行時)状態ではできますが自己責任にて。

 

 

以上、私なりの電子制御デバイス ABS、DTC、EBCのご紹介と活用術でした。