Ducati 899 Panigaleいじり

Ducati 899 Panigale いろんな意味でいじりとバイク全般

ブレーキメンテする際のABS考

 

http://www.899panigale.ducati.com/images/panigale/slices/moto/bg_slice06min.jpg

 

前々回、ブレーキメンテナンスにおいてABS付き車のエア抜きは困難であると書きました。あれから、改めて学習してみたので(いまさら?)まとめてみたいと思います。話半分に見てください。

こちらのサイトを見て、そういうことかと思いました。パニガーレのABSに使われているBosch製など、ABSのユニットメーカーや新旧などによって若干の動作は違いはあるのでしょうが原理は同じと思われ知識の流用はできます。分かりやすいのでオススメです。

http://www.gentei.org/~itoh036/gtslog/abs/

 

まず、ABSユニットがエアを噛むというのはどういう時なのか。

ABSユニットにはブレーキフルードの通り道として一次経路と二次経路というものを持っています。普段のブレーキ動作では一時経路のみを使用した今までのバイクの油圧ブレーキと全く同じ動作、対してABSの動作した時は一時経路をバイパスする形で二次経路がオープンします。この開いた二次経路(バイバス)にブレーキフルードを「退避させる」とか、「遮断する」「復元する」形でブレーキフルードの圧力をコントロールします。

 

私が思い描いたのはトンネルの待避所です。長いトンネルなど、トンネル内で事故・火災なのがあった時のために一定距離ごとに脱出用とかそこで車のUターン動作が出来るように待避所が脇に掘られて設けられていますね。誰か居るんじゃないか?と、なんとなくチラッと見てしまうあの怖い場所。

 

あそこがABSの二次経路と考えると分かりやすいです。ABSでは普段はあの避難所が扉で閉じられていますが、ABS動作の段階ではあの避難所の扉がオープンされブレーキフルードが流れ込みます。基本的にこの避難所にはエアが全く無い場所でブレーキ液のみで満たされるように、そして容量も受け入れ可変。ABSの動作が終わるとこの扉は閉じられる。ここに一時経路からブレーキフルードが逃げこむか一次経路へ押し戻されるかでキャリパへの油圧介入のコントロールを行い、断続的なブレーキ動作が可能になるわけです。ABSにエアが噛むとういうのはこの避難所に空気が混入してしまうことですね。なので、普段の動作やエア抜きでは全く関係ない場所であり、しっかりエア抜きしておけば今までのバイクのブレーキの扱いと大きく代わりはないと言えます。極論すればブレーキフルードを全て抜ききってブレーキフルード交換しても、(ABSユニット待避所の壁は開かないのだから)通常の作業でエアをしっかり抜けばABS動作に影響は無いといえます(極論です)

 

 http://www.seastarsuperbikes.co.uk/Ducati%202014/899/800/bosch%20abs.jpg

ここで心配な「ABSユニットに確実にエアが噛む」シチュエーションを考えてみると。

エア抜きが甘かったため、エアを混入させたままブレーキを使用してしまい、ABSユニット二次経路へエアが進み侵入を許した。

ブレーキフルード交換・ブレーキホース交換などで、ブレーキラインから完全にブレーキフルードを抜いた空の状態で、エンジンキーをONにしてしまった。

 

一番目は誰しも思いつくことですが、特に二番目が盲点ですね。

コンピュータによって電子制御されているバイクは必ずキーON時かエンジン始動時に各デバイスの動作確認を行います。ほとんどはキーON時です。

キーをONするとタコメータとスピードメータの針がスイープ動作(いったんMAXまで振り切り戻る)し、液晶メータ部が全表示パターンを点灯し消灯、インジェクション車のタンクの下からはピーグー(HONDA)とかヒュッヒュウ!(DUCATI)という燃料ポンプの動作確認音が聞こえてきます。

古くは2ストロークの排気デバイス(RCバルブ、YPVS、ATTACなど)付き車でキーONした時の「♪ピーグ~」と聞こえてくる動作確認音が懐かしいです。

この時にABS動作確認も行われています。動作確認しているということは、ブレーキ二次経路の壁が動作確認で開閉されているのです。例えばブレーキホース交換作業中、ホースも完全に取り外した際に「ちょっと暇だしエンジンチェックしようかな」などと何気なくキーONしたとします。チェックでABS二次経路が開きます、それだけでABSユニットがエアをドカンと噛んで終了です。噛んだらディーラーの設備でABSを強制動作させて二次経路を開かせてエアを吐き出させるという素人にはぜったい出来ない手間が発生します。プロでもABSエア抜きはよく分かっていなくて作業失敗しているというのもあるようです。

よくブレーキパッド交換中などはブレーキレバーに触るな!(キャリパのピストンが出てしまうから)というのが鉄則ですが、これからはブレーキフルード関係の作業をする場合はバケツにフルード除去用の水を用意する事と共に、メインキーは必ず抜いておけというのが鉄則となりそうです。誤って自分や他人がキーONしてABSチェックを動かしてしまわないように。設定でABS OFFにしたり(ON忘れが怖い)、キルスイッチOFFでも不安ですね。もしキャリパをディスクローターから離した状態でキーONにしたらどうなるんでしょうね?ABSチェックの点検圧がかかったらビストン押し出されたりするんでしょうか。とすると、ピストン戻せなくなる事故も可能性ありますね。これからは二輪車はABSの標準装備が決定していますから、ブレキーメンテする際はキーは絶対にONしない(キーは抜いておく)というのが鉄則となりそうです。

 

 

ブレーキは安全を守る上で大切なデバイスです。

私は私を信じますが、これを信じるか信じないかはあなた次第です(お約束)。