Ducati 899 Panigaleいじり

Ducati 899 Panigale いろんな意味でいじりとバイク全般

タイヤの話 190/55-17 その1

タイヤのサイズです。

 

180/60-17じゃないの?と思った方、正解です。

899パニガーレのリアタイヤは180/60-17が正規のサイズです。

このサイズ、市販車としてはまだまだ特殊で、主に600ccのレースで「180サイズなのに扁平を60にすることで実質リッターバイクの履くような200/55サイズに近い接地面積と耐摩耗性能(1レースレベルでの)を得られる」という狙いで開発されたサイズのようです。しかし、そこは新しもの好きのドカティ、SBKシリーズのみならずミドルクラスの各車種への採用を進めています。なので、SBK以外の最近のドカティ乗りの方も少し気になる話になると思います。

 

実際、2014年までの全日本選手権ではメッツラなどで猛威を振るったサイズのようであります。しかし2015からはブリジストンワイメイク(R10(EVO)のみ)になり、国内は180/55-17サイズ固定での争いに戻ったようであります(2016からは地方選手権600ccもBSワイメイク)。このR10(EVO)というタイヤ、サーキット走行専用にするため公道安全走行のための開発・施工費用をかけないかわりに、レース参戦者への提供価格が安い(=レース参戦コスト減)ようなんですが、ならもうレーシングスリックでやればいいじゃん・・と思えるのですが。普通に売ってる街乗り溝付きタイヤを買って参戦できるというのが元々の改造範囲を狭めた600の車体でやるレースの趣旨だったと思うのですが。

更に、このサイズで一悶着。このサイズを履くのは一筋縄ではいかないということ。180/60サイズはタイヤ装着時横幅はほぼ200サイズに匹敵する(外径は190/55同等)と書きました。すると何が起こるかというと車種によって「バイクに装着できない、調整が面倒」という事態が発生するのです。タイヤ外径が大きくなるのだからそのまま装着だとスイングアームピポッド部やリアフェンダーにタイヤが擦ります。それを避けるためにリアタイヤをチェーンプラーで思い切り後ろに引っ張って、するとチェーン長が足りなくなるからチェーンを足すか前後スプロケのセッティング変更でそれを誤魔化す必要アリとか。更に横幅が200並に広がるからタイヤエッジ部とチェーンラインのクリアランスがかなりギリギリになるケースがあるようですね。チェーンラインオフセットなんて荒業も見ました。要は元々、600クラスのオートバイはリッターバイクの履くような200/55サイズに匹敵する180/60なんてサイズを履くようには開発されてきてないわけですから将棋倒し的に各部リセッティングが必要になる、ということですね。2014年の話だと全日本選手権600へ参戦されているしんたろう選手がこのへん苦労されていて「強いけど扱いが難しいサイズのタイヤだな」と印象に残っています。

このように180/60は使いこなせば早いのですが、その使いこなすまでが大変。しかしやらねば勝てない。そこが、タイヤ性能の差とノウハウの差が使用するタイヤメーカが違うチーム間格差が広がりすぎたために不満が募り、ワイメイクへの流れとなったのでしょう(妄想)。タイヤメーカが違うことによるチーム間格差が出来過ぎてワンメイク化というのは、motogpでもF1でもそうでしたね。

 

話が脱線しました。

しかし、そんな話も日本国内での話。ワールドワイドで見れば中量級レースシーンではリアタイヤは180/60-17サイズの有効性が幅を効かせているようであります。そんなわけで時流に敏感なドカティもその時流に乗り、899 パニガーレへ180/60のタイヤを採用したのだと思いますが・・。

「タイヤが無い」

のです。

普通に売ってるじゃないと思いますが、180/60なんていうサイズは国内タイヤメーカーは販売しておりません

(そもそもバイクメーカーがミドルクラスの開発ターゲットにしていない180/60なんてタイヤサイズは亜種・邪道として無視しているフシもあると思われ)。

ほぼピレリと同体のメッツラー、そしてミシュランのみがサイズ展開、しかもそのサイズの存在する理由上、ハイグリップハイエンドタイヤにしかサイズ展開しておりません。

今、タイヤ屋に「180/60-17くださーい」と店に行くと、「ハイ」と出されるのはレースに使うようなタイヤしかないわけです。公道メインで峠遊びメイン、たまにツーリングも行くというならそこまでの高価なハイグリップタイヤなんていらないですよね、SSといえども。ここが困った所なのです。サーキット行く方は迷いなく180/60 ロッソコルサ以上を履いてください。

 

そこでやっと、タイトルのタイヤサイズになってくるわけです。