Ducati 899 Panigaleいじり

Ducati 899 Panigale いろんな意味でいじりとバイク全般

防寒の切り札!!電熱グローブ導入考 Part2(実行編)

 

http://www.rs-taichi.co.jp/website/support/e-heat/faq_2013.html#RST594-595

Q.USBから電源を供給することはできますか?

A.不可能です。USBの電圧は5Vですが、規格上で最大電流は2.1Aしかなく、e-HEATに十分な電力を供給できません。

 

 

    本当に出来ないのかな?

 

これが今回のメインテーマとなります。

 

最近ではとても安価になっているモバイルバッテリー、最近ではスマホへの充電などでかなり認知度は高まったとおもいます。スマホへ数回充電できてしまう10000mAhの製品などもお手軽な価格で売られています。これを使用することができれば・・。純正バッテリーは5000mAhで(片手)最長で4時間はもつようですから、10000mAhを両ポッケなどに持ち歩けば単純計算で倍もつことになり日帰りなら充分レベル。また泊まりの旅先などでのバッテリーへの充電も宿のコンセントからUSBケーブルで一晩(※)でいつもどおり、充電用の追加機器も特に必要ありません。モバイルバッテリーは改良が進み大容量化と小型軽量が進んでいますから携行もさほど苦にはなりませんね。どうせ厳寒期のウェア装備なんてモコモコしてるんですから。

 

※(モバイルバッテリー自体への充電に関する豆知識)

 ・10000mAhのバッテリーで1A充電で12時間、2A充電で最短で6時間強で完了。

 ・最近の第二世代バッテリー(cheero PoerPlus2世代)あたりから2A充電できるようになっている。それ以前のものは1A充電製品が普通(充電が超遅い)。

 ・2A充電(急速充電)はAC(コンセント)-USB変換器からUSB充電ケーブルまで「全て2A対応の充電製品で揃えないと成立しない」ので注意(重要)

 ・2A充電環境を揃えても、モバイルバッテリー自体が1A充電にしか対応していないと1A充電しか出来ない。(完全ゼロから一晩で終わるか微妙なライン)

 

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ここから以降は製品の使用上におけるメーカーの警告を一切無視した内容となります。
実際に試される場合は充分に理解・注意をして行ってください。
ここに書かれている内容を模倣したことによる物的・身体的損害が起こっても当プログ主は一切保証はいたしませんし、電熱製品メーカーからも当然、保証は受けられません。

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さて、ここまで来て「そんな事言ってるけど、そもそもUSB電源で使えるものなの?」と思われると思います。私がイケそうと思ったのは以下の製品の仕様を見て思いつきました。

車両電源セット
http://www.rs-taichi.co.jp/website/images/download/e-heat/RSP030_Manual.pdf

バイクのバッテリーから電源をとって電熱ウェアへ電源を供給するためのものですが、バッテリーからくる電圧が12V5A(Max)、出力側が5Vとなっています。12Vから5Vへ単純に降圧させるDC-DCコンバータでしょう。注目すべき出力5VというのはUSBの電源供給規格の電圧と同じです。入力電流が5A(アンペア)ですから、おそらくグローブ1個につき1A、電熱ベストウェアの左右でそれぞれ1Aの計2A、マージンをとって1A

1A(グローブ) + 1A(グローブ) + 2A(電熱ベスト) + 1A(マージン)  = 5A

ウォーズマン理論による算出

 

という電流が車両電源セットの出力側5Vに乗って出力されていると思われます。

USBの規格は5Vで急速充電規格でも最高で2.1Aチョイまでしか流せませんから、USBケーブル一本だけでグローブから電熱ベストまで全て使える電流は流せません。

後から追加販売となった製品「ウエストウォーマー」に関してはモバイルバッテリーからUSB電源供給が可能になっている。もしかすると、2016-2017にかけての電熱製品はUSB電源供給可能に全製品を仕様変更してくる可能性あり?

電源供給仕様を独自にして、これまで同様に少数の特定ユーザーのみを囲い込むか、USBのオープン仕様にして電源供給方法を容易にして一気に電熱市場を爆発的に広める動きとするか、メーカーの判断を待ちたいところです。

 

うん、USBモバイルバッテリーから電源がとれそうなのはわかった。
でもグローブへの電源供給はどうするの?グローブへはDCケーブルとプラグだけど。

はい、こういうものがあります。

item.rakuten.co.jp

こんなものがあるんだ!?というのが見つけた時の印象です。誰しも考えるものなんですね。一般的ではないですが、しっかりと用意されていました。よし!これで勝つる・・と思ったらまだ早い、DCジャック・プラグの規格の問題という物があります。

上記の製品のDCジャックは「外径4mm センターピン1.7mm センターピンの極性は+」というEIAJ2(後述)という規格仕様のものです。

PC関連機器に付属のACアダプタのDCジャックって、大きさが千差万別で使い回しが効くのか効かないのかサッパリでウンザリした経験が誰しもあると思います。DCジャックで大事なのは「1.外径、2.センターピンの径、そして3.センターピンの極性」です。これがアダプタメーカなどによりかなりマチマチ(わざと?)で使い回しが効かないからウンザリなんですね。センターピンの極性も基本は+なんですが、独自仕様では逆のマイナスな物も平気であるようです。

 

DCジャックに関して調べたら、一応規格はあるということが分かりました。

DCプラグの規格

上記の製品はEIAJというDCプラグの規格で、DCプラグに関して「サイズもセンターピンの極性もマチマチでウザいのをいい加減統一しよう」という趣旨で決められた規格のようです(勝手に推測)。EIAJはピンの極性もセンターピンが+としっかり決められています。ちなみに、EIAJ2の規格ピンをチョイスした理由は「DC 3.15Vを超え 6.3V以下 定格2A」となっており、このグローブに供給される電圧電流には適していると判断したからです。また、グローブ標準に採用されているDCプラグ・ケーブルはひと回り細く小さく、耐久性に難ありという情報もあったので余裕を持ってこのサイズをチョイスしました。

 

この 電熱グローブ(RST595)のDCプラグ、ノギスで計測すると外径3mmのセンターピン径1.3mm「前後」、ノギスでも正確にわかりません。どこかのブログでも書いてましたが、センターピン径が0.1mm違いで似たようなものがあり、はっきりいって「このサイズだ!」と目では特定はできません。いわゆる「プラグの部品を取り寄せて実際に刺して見ないと分からない(失敗したら即、燃えないゴミ)」という厳しいレベル。google調査でなんとか割り出そうと頑張りましたがダメでした・・。

改造しようとしてるんですから、RSタイチに「電熱グローブのDCプラグの詳しい規格教えて下さい」と聞ける立場ではありません。上記のUSB-DC変換プラグの規格「EIAJ2」と接続できる変換コードをネットでかなり探し周りましたが、国内品から怪しい海外製品のものまで含めて結局「これだ!」という決め手の物はありませんでした。通常ですと、ここであきらめますが・・

「そもそも、このグローブのDCジャック 特殊すぎてウザいのが悪い。いっそグローブ側もEIAJ2のDCプラグにしちまえば・・」と、悪魔のささやきで思い立ちました。

 

www.sengoku.co.jp

ありました!パーツとしてEIAJ2のDCプラグパーツが。これを2個通販で購入し(秋葉に行ける距離の人なら簡単に手に入るでしょうね)、意を決してグローブ側のDCプラグを根本から切断して切り離し!!このEIAJ2のプラグに換装しました。

- ハンダ付け -

このDCプラグの換装にはハンダ付けが必要です。ハンダゴテなんて中学校の技術家庭以来で持ってなかったので、ハンダゴテはアマゾンでハンダセットの一番安いものを購入で充分でした(ゴテの扱いとヤケドには充分注意!)。極性に関してですが、「グローブから出ている線の白い線が引かれているほうがマイナス、黒いだけの線が+」です。黒い線をDCプラグのセンターピン側へ、白い線の方はマイナス側(外周)へハンダ付けしてください。DCプラグのハンダ付けの仕方は検索すると出てきます。私も久々にやりましたが、そんなに難しいことではありませんでした。

 

・+と-の線は、+側(黒)を少し短くして長さに段差をつけてカットしないとDCジャックに収まらない。

・DCジャックのカバー部はハンダ付けの前に先に線に差し込んでおくこと。

・グローブから出ている線は短いですから、必要最低限だけ剥いてカットするようにすること。そうしないと、失敗するとどんどん短くなっていきアウトとなります。

 

うまく出来ると以下のようになります。ご武運を祈ります。

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「グローブから出ている線の白い線が引かれているほうがマイナス、黒いだけの線が+」 白いラインのはいった線(マイナス)をプラグの外周(マイナス側)へ接続します。

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ハンダ付けしたらプラグのカバーを端子部にかぶせて締め込めば完成です。
ブラグのEIAJ2化完了!あースッキリ。プラグも少し大型化して剛性感・耐久度アップ。このほうが純正プラグより取り扱いやすいと思います。

 

難所はこの標準DCブラグカットとハンダ付け部分でしょう。高価な電熱グローブがパアになりかねないので勇気がいります。

 

ここまでくれば、あとはモバイルバッテリーからグローブへの配線です。

item.rakuten.co.jp

item.rakuten.co.jp

 

こういったものを購入し、グローブまで配線することになると思います。私は初期案としてジャケットの両ポケットに10000mAhのモバイルバッテリーを入れ、ポケットの裏に小さい穴を開けてそこから上記配線で袖の中に通し、袖口へDCジャック(メス)を出す取り回しにしました。(二股ケーブルの使用については後述する内容で判断してください)

まぁ、このへんのケーブルの取り回しはそれぞれで悩んでください。モバイルバッテリーをウェアにどう収納・固定するかが鍵ですね。強力なマジックテープを活用するのも一つの手かもしれません。モバイルバッテリー自体がより軽量化するのも待たれます。

 

ここまで出来れば、たとえばバイクのバッテリーから電源をとりたい場合も

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こういったパーツを使えば車載電源取り出しを安価に作成できそうな気がします。

 

防寒の切り札!!電熱グローブ導入考 Part1(準備編)

以前から使おうかなと迷っていた電熱製品に手を出してみました。

 

北国の人間にとって電熱製品、微妙なんですよ。北国なんだから絶対欲しいんじゃないの?と思えますよね、なぜか。

電熱製品というものが欲しくなってくる気温、個人差も有りますがだいたい気温10度を切り始めるあたりだと思います。晩秋に入り始めるあたりですね。気温10度を切り始めると明らかに走行風がライダーにとって凶器になってきますからね。

北国の人間もそうですが、北国ライダーが決定的に違うのは「そろそろ冬眠だなー」とバイクに乗らなくなってしまうことです。そうです、気温が下がるということは雪が降ってくるわけで、丁度10度を切り始めるとそろそろ雪がくるというサインです。バイクに乗らないということは防寒対策をしなくても困らないということで、つまり北国の人間というのは実は本当の防寒対策のノウハウというものを実は知らないものなのです。本当に寒くなる厳寒の頃は道路は圧雪で乗れるわけないですからね。晩秋手前までの低音が我慢できればそれでよし、東北より南の冬でも乗ってるライダー(東北だと仙台は例外で雪がぼぼ積もらない)のほうが、実は厳冬期の防寒対策のノウハウがわかっているものです。

なので、本当の冬眠北国ライダーは意外と電熱製品には興味がありません。使おうかなと思って頃には冬眠で「どうせもう春まで乗らないからいいやー」と忘れてしまうからです。ちなみに春に乗り始める頃は、通常だと道路の脇の雪がほぼ解けかけ、だいたい気温が10度を上回りはじめるとみんな乗りはじめます。北国ライダーで気温5度以下で乗るとほんとに命知らずか物好きという眼で見られますね(自分含む)。

いつも通り、能書きが多くなりましたが。
ではなぜ、今回電熱製品に北国冬眠ライダーのワタシが興味を持ったかというと。

「雪が本当に降らないから」

です。

2015から2016年にかけての冬、本来なら3月頃まで積雪の多い地域でも雪が本当に降らないです。気持ち悪いくらい雪が積もりません。なので、寒いのですが道路はすでに乾燥し、いつもより冬眠時期は短く、もうバイクで乗り出そうと思えば乗り出せます。しかし「寒い」のです。まだ日中の最高気温は5度付近をウロウロしている段階です。

これくらいの状況だと関東あたりのライダーはしっかり防寒して出かけるのでしょう。しかし、わたしたち北国ライダーはこの寒さで走り出すという経験と装備があまりに少ないので、エイヤッと乗れるのに乗れないのです(笑) 「冬はバイクに乗らない」という北国冬眠地域ライダーにとっての大前提・大常識が覆されたわけです。
私もそのジレンマに陥っていたわけですが、では、ということで未知の領域でバイクに乗るため必要に迫られて導入を検討したのが電熱製品ということなのです。

 

でも、ただ電熱製品を買って「暖かいです」で終わるのも既に多くの人がやってるのでつまらない。少しへそ曲がりな電熱製品導入レポートをしたいと思います。

 

まず、今回は電熱グローブをトライしてみることにしました。こうは言っても私は寒がりなので(北国の人間が必ず寒さに強いとは限らない)晩秋までの防寒装備はけっこう突き詰めたと自負するところではあります。しかしどうにもならない部分がありました。「手」です。ライダーなら分かりますが、手だけはどうにもならなかったですね。過去にハンドルカバーに走ったこともありますが、たしかに最強とよべるシロモノでしたが、装着には許されるバイクと許されないバイクがあるのは事実です。

「この寒さで乗り出す以上、手だけはなんとかしたい。手さえなんとかすれば乗り出せる・・・!!」という思いでまずはグロープを電熱トライしてみることにしました。とりあえず、私が全幅の信頼を置いているRSタイチ製品から

pro.rs-taichi.com

www.youtube.com

 

をチョイスしました。RSタイチのe-HEATシリーズは電熱ジャンルではなかなかの信頼を確立しており、私も今回も判断基準がブレないように「まず、これでやってみよう」と思いました。

電熱製品を使用する際「電源はどうするのか」これが大きなテーマだと思います。電熱製品を導入する際に製品の選定と共にライダーが最も頭を痛めるのがココだと思います。大きく分けて2つ

・バイクのバッテリーから電源をとり、電源コードで身につけた電熱製品へ供給する。

・製品専用の小型バッテリーを身に付け、そこからコードで電源を供給する。

 

前者の長所は、きちんと配線を行えば時間の制限なく電源が供給しつづけられる。
短所としては、電源コードが降りる際にわずらわしい、転倒などした際に危険かも。

後者の長所は、バイクに乗り降りの際の電源コードのわずらわしさがない。
短所としては、総じて小型バッテリー式なので使用時間の制限がどうしても付きまとう。

というところでしょう。今のところ完璧な電源供給システムはありませんから、どこかで妥協はしなくてはなりません。899パニガーレに既に各種電子機器
(ETC、USB 2Ax2、LED)を取り付けており、そろそろ容量限界の不安がある事もあり、今回はまず身に付ける小型バッテリー式で行ってみることにしました。RSタイチの電熱グローブ用の小型バッテリーというものがあります。

pro.rs-taichi.com

バッテリー方式でいくと、バッテリーをグローブ左右分(2個)、バッテリーへ充電するための充電器も必要です。まぁ・・けっこうしますね。

・・・ここですよね、悩みは。グローブ自体も値段はそれなりにするのですが、プラス周辺の付属機器もそれなりの値段になってしまいます。ここで少し考える人は考えます「うーん、安価なUSBモバイルバッテリーとかから電源供給はできないのかな?」と。しかしこのFAQ文が立ちはだかります。

 

http://www.rs-taichi.co.jp/website/support/e-heat/faq_2013.html#RST594-595

Q.USBから電源を供給することはできますか?

A.不可能です。USBの電圧は5Vですが、規格上で最大電流は2.1Aしかなく、e-HEATに十分な電力を供給できません。

 

 

    本当に出来ないのかな?

 

これが今回のメインテーマとなります。

 

 

人それぞれ 車載動画の撮影のしかた ノウハウ

まだオフシーズンなのでバイク周辺ネタです。

それでも少しでもお役に立ちそうなネタを載せたいと思います。

 

今回のお題は「車載動画」です。

最近はYouTubeなども動画が溢れかえり、道を走っていてもヘルメットやバイクにカメラを搭載しているライダーを見ることが珍しくなくなってきました。お、撮ってるなー、どんな動画作ってプログとかに載せるつもりなのかな、と思ったりします。

私も前のバイク(CBR)時代から動画撮影にはトライしていました。あの頃(2005年ころ)は今のアクションカムのような動画用カメラなんてほとんど無く、当時は有力であった「デジカメの動画撮影モード」でヤフオクで購入したタンクマウント用ステーで撮影していましたね。スマホに押されてデジカメなんて言葉もすでに懐かしいです。バイクのスクリーン越しに撮れた映像は今ほど鮮明ではないですが、今でもYoutubeの片隅でひっそりとそれなりに人の役に立っていると思われます。自分の走った景色をそのまま残せるというのに衝撃と喜びを感じていました。その中には、震災の津波で消え去った沿岸のあの懐かしい町並み・景色なんかもあるわけです・・。

 

で、一旦は収束した私のバイク車載動画撮影でしたが、昨今の撮影環境の進化と高画質化で、「あの頃、どうしても出来なかった事が今なら実現できる!」という興味から再びトライしてみることにしました。いわば車載動画撮影第二期の到来です。

 

ただ周囲がやっているのと同じことをするのではつまらないので、私が重視したテーマが、「自分で動画撮影していることをなるべく意識せず、常に動画撮影していたい。」ということです。言うなれば、「あ!撮れててよかったー」という動画です。具体的に言うと、撮影チャンスというのは不意にやってくるもので、ここは撮るというお約束の景色やシーンの動画は誰しも予測してスイッチオンして撮るんです。が、不意に訪れる事というのは意外と取れない、スイッチオンしている間に過ぎ去ってしまうからですね。それを可能とするのが「とりあえず常に撮影している」という状態の実現です。

 

急に脱線しますが、不幸な災害時の動画など「こんな場でスマホのカメラを回すなど不謹慎ではないか」「よく撮れるよな」という意見があります。私はそういう的こそ、冷静にカメラを起動し、回せる人がいたからこそ、その場に居なかった人もその実情をYoutubeなどで見て後の教訓にできていると思いますね。311の津波動画なんてそうです。あれを撮っていた人たちは「この大きな事実は後に伝えなければならない、俺がやる!」と瞬間的に思い立つ気概に満ちた人たちが撮ったのだと思います。たとえ自分の亡骸の側からそのカメラが見つかることになってしまったとしても・・。「何か記録が残っていれば・・」そんな後悔が人間の歴史にはたくさんあるのです。そういう人こそ、みんながショックで我を忘れて呆然と立ち尽くしている中、先を考えて動ける人だと思います。

 

戻りますが、シャッターチャンスなんて言ってないで常に動画撮影している状態はキープしたい。そのための条件としてカメラの長時間駆動の問題があるのですが、カメラの搭載バッテリーだけではあのアクションカムの代表ともいえるGoProといえど難しいものがありますね。必ずバッテリー交換の手間と「そろそろバッテリー切れるのではないか」という心配が発生します。長時間撮るにしても今度は記憶メモリがもつのかという話になります。GoProもエンドレスモードというのがあるようですが、そこらへんのバランスのとれたある機器があることに着目しました。それがこれです。

 

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www.yupiteru.co.jp

ユピテルドライブレコーダーです。

これはかなり使い勝ってが良くて、

・USB給電できる。

・エンドレス録画できる(SDXCのメモリカード対応)。

・ステーなど工夫次第でいろいろなマウントができる。

という点が挙げられます。

USB給電できます、しかもモバイルバッテリーから。通常は車両の12Vから5Vへ落とすシガーソケットからマイクロUSB端子でカメラ本体へ給電するのですが、5VでマイクロUSBって要は普通のcheeroとかのモバイルバッテリーから給電してもいけるでしょ?っていうことで繋げてみたらちゃんと動きました。モバイルバッテリーは10000mAhクラスのバッテリーが普通ですから、これで長時間駆動の電源は確保できます。この思いつきはかなり大きかったです。最近のUSBケーブルで給電するタイプはだいたい5V1A系ですからイケる可能性高いでしょう。

 

こちら参考に

www.youtube.com

 

 

電源供給に関してはこういう製品もあります。

item.rakuten.co.jp

item.rakuten.co.jp

どうですか、お手持ちの機器で可能性が広がりませんか?

 

ではマウントはどうするのかというと、これはかなり試行錯誤しました。

・最初はバイクのスクリーンにつける方法。ドラレコのステーをスクリーン内側に無理やり貼り付けて(両面テープが優秀なので意外と付くんです)やってみましたが、並列4気筒のバイク(CBR)なら振動も少なくどうにかなったのですが、899パニガーレではお察しのとおりL型2気筒のドカティ特有の振動(それでも旧来のLツインより振動はかなり少ないと思います)でカメラが揺れてブレ、ちょっと辛い結果となりました。それと振動の影響により電源コードの差し込みがゆるみ、ドライブレコーダーが何度も再起動(ピコーン!カシャッ!)して動画がブツブツ切れてしまう問題が表面化しました。これは精神的ダメージが大きく、スクリーン吊り下げマウントをまず考えていた私は打ちのめされ、マウント方法を探す旅に出ることになります。

次に考えたのがチェストマウント。体に装着した袈裟懸けベルトなどにより胸の中央にカメラをもってくる方法です。これは動画のブレなど振動の問題などかなり改善できたのですが、マウント用ベルトを装着する手間、そしてなんといっても「走っている間に上半身の前傾度によってカメラの撮影角度がコロコロ変わってしまう」「ベルトのズレにより、ぜんぜんダメな角度で気づかずにずっと撮ってしまっていることがある。」と、なかなか躍動感のある動画は撮れるのですが、どうにも安定しなくてチェストマウントが使えるのは普通に歩いてる時くらいだなという判断になりました。

次に思いついたのがステム周りに固定する方法、なのですが。

899のステアリングステム付近にはすでにスマホ用のマウントステーが陣取っており、これ以上ステム周りをゴチャゴチャさせるのはさすがにライディングに支障が出る。なにより、ここまでのマウント方法は全て「カメラのブレ・角度が気になるなど、撮影していることをどこか常に意識してしまう」ということで自分的にはちょっとダメだなと思いました。

 

では次の手は・・ということで、ふと思いついた方法がコレです。

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単純に、ヘルメットにこのユピテルのステーがくっつかないかなぁと試してみました。角度的にはアゴが一番くっつき安定しやすいです。最終的にこのマウントがベストとなりました。ドラレコ自体が軽量のため、重さが気にならない。高速道路など風圧の問題も常識的な範囲ならばユピテルのステーの強度問題・脱落の問題もなし(たまたまドラレコが抜け落ちない位置に搭載できる)。他のアクションカムのようにカメラ自体が大きくないため、見た目もそれほど大袈裟感がでない。電源もポケットに入れたモバイルバッテリーから1.5mくらいのUSBケーブルをジャケット内側に通し襟元から出してやればスマートに給電できる。などなど・・。

このヘルメットのアゴマウントの良いところですが、よくあるヘルメットマウントにおける欠点「ヘルメット自体が映り込んでしまう」という問題もクリアできます。ヘルメットマウントの代表でもある、バンドや吸盤で耳の当たりにマウントする方式ではヘルメットの横が映り込んでしまいます。このマウント方式だと本当にライダー目線にかなり近い使いものが撮れます。目線がどこに向いているか、目線を向けただけでその見たものを記憶と同時に映像として残せます。左右の安全確認をしている場面など、後で反省する時などよくわかります。

DRY-Wifi40Cのいいところはこの縦横サイズです。ほぼ正方形なので、このようにマウントする際、傾かなくて済むのです。これが他のよくある横長タイプだとこのような装着は無理でしょう。またステーにも罠がありまして、GPS機能を内蔵と謳うもGPS機能は実はステーに内蔵しているという機種もあります。そういう機種のステーだと、小さいステーを追加で買うだけで5千円くらい払わないとなりません。GPS内蔵ではないDRY-Wifi40Cのステーを流用できるのかもしれませんが気をつけてください。DRY-Wifi40Cのステー単体でも安くはありませんので・・。

ちなみに、DRY-Wifi40CにはGPS機能は製品写真にあるとおり横に出っ張ったものになっています。最初はつけていましたが・・私はあまりGPS機能に意味が感じられなくなって今は外してしまっています。スマホのグーグル位置情報で常にトレースしてますし。

バイクを降りてからヘルメットをしたまま景色を見て談笑するとかありますよね、そういう時もその様子が自然に記録されます。スイッチのON/OFFとか忘れていても良いのですから。

 

唯一の問題は防水性と風切音ですね。

防水性は雨が降ってきたらスクリーンマウントに戻すかそもそも撮影をやめる。風切音に関しては外部マイクが接続できる後継品が発売されればいいと思いますね。私はあまり動画の風切音に神経質になるタイプではないのですが(しかし走行中の実際の風切音は気にする)。この二点が機械的に改善できて60fps化などすればこの製品は完璧だと思います(でも車内用ですしね・・そんな改良されれば嬉しいのですが)

ともかく、私はこの方法でバイクに乗る際は「常に意識せずに動画を撮っている」状態ができています。ヘルメットをかぶってあご紐を締めると同時にカメラにUSB電源コードも刺すのはもう無意識に出来ます。ここも将来的には必要なくなる方法が見つかるかも。

これで帰宅すると、「ああこんな良い景色のところがあったなあ」や「あーここ危なかったな」とか「え!?こんなことあったっけ?」という場面があり、バイクに乗るという楽しみの中で欠かせない要素となっています。

録画データは一日走ってくる30GBくらいにはなってますが(SDXCカードは64GBを使用)、Avidemuxなどにより任意の解像度とH.264などのコーデックで圧縮して保存すれば、昨今のHDDの大容量化・低価格化により保存するのは容易です。言えるのは「ファイルサイズが大容量になっても、なるべくケチらず解像度は1280x720や1920x1080で残したほうが満足度高いし後々に後悔しないですよ」ということです。

 

この方法の利便性はバイクを降りてからも続きます。車載固定搭載型のカメラではバイクを降りて散策する際にカメラはサヨナラですが、この方式ですとカメラをついてこさせる方法が出来ます。

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いや、これはない・・。そう思われるで゜しょうか?一昔前ならそうでしょうね(笑)。

しかし今ではどうでしょうか。観光地にてスマホを自撮り棒につけて歩き回っている姿なんて普通になってしまいました。あーカメラ撮ってるなくらいもんです。むしろコソコソ撮っていると盗撮!?と思われてしまう時代です。このくらい堂々と「撮ってますよー、変な角度は撮ってませんよー」とアピールも含めて行ったほうがいいのです。これ見て「わたしは撮らないで」という人は言うでしょうからその時はSTOPすればいいのです。

両手フリーとなるので、私はこれでよく釣りのシーンを撮影しています。自分目線ですから魚が釣れたシーンなどはそのままの魚とのファイトの興奮(おおげさ)が記録されます。片手で持ち続けるスマホではこの「何かをしながら動画を撮る」のはいかに難しいかはやってみた人であればわかると思います。

しっかり固定されてますから、重さもさほど気にならないです。電源供給はもちろんポケットの大容量モバイルバッテリーからUSBケーブル経由で一日安心です。

ちなみにこのキャップマウント、キャップにつけるクリップサングラスのステー部分を使い、ホームセンターで見つけたアルミの板(ステー)を銜えさせて、そのステーにタイラップで輪を作りドラレコを固定しています。

 

store.shopping.yahoo.co.jp

 

あと、基本ドラレコですから、記録動画には日時が記録されます。これあると記録動画としても証明の一つになりますね。日時記録は設定でもOFFにできるので普通のカメラで撮影したようにも出来ます。

 

 

どこまで持っていけるか、可能性は無限大の車載カメラのご紹介でした。

 

いきなり漫画の話 -バリバリ伝説- その2(第三部 WGP500編)

いきなり逆からいきます。バリバリ伝説では私が一番好きな第三部 WGP500編です。

やっぱり本当に行くんだと思いましたね。第二部で全日本GP250ccのシリーズチャンプをとり、国内チャンプ防衛ではなくそのまま世界に飛び出してしまう。漫画の連載を考えればそれしかないだろと言われますが、現実では国内のシリーズチャンプを二度三度とガッチリ防衛連覇してこそWGPへ出る資格を与えられるという流れでしたから、この特例な展開には胸が熱くなりましたね。それほど第二部の全日本編で放ったイメージは強烈だったわけで大メーカーも動かしたわけです。現在もですけど、全日本選手権で防衛連覇してから世界へ行くべきという考えと、国内でチャンプとったら即世界へ出てしまうべきという考えがあります。バイクという機械を使う競技である以上、しっかりした参戦体制(走るマシン・維持できるチーム・シーズンを戦い切るお金)で世界へ出なければいくらウデがあっても話にならないという現実もあります。どちらが正しいかは結果論でしか語れないのですが、当時は国内連覇してから世界へ出るべき(平忠彦選手が連覇していた80年台)という考えが圧倒的優勢でした。90年台からはバブルの景気も有り、一度チャンピオンとったらその勢いで即世界GPへ出てしまう、又はチャンピオン取らなくても実力さえあるならシーズン初めの日本GPでの一発勝負で世界戦で力を示してそのままGPサーカスの一員に加わり世界へ旅立ってしまう・・というイケイケな流れでした。その反面、タイミングや色々な事情からいくら速さを見せようとも、何度も全日本連覇しても世界へ出してもらえない、という不遇なライダーがいたことも確かです。世の中の多くは流れ・タイミングが大きい、どう願っても力が及ばない域もあるのだという現実を私がレースから学ばせてもらった時期でもあります。

バリバリ伝説の主人公グンはどちらかというと90年台の世界GP参戦の流れを先取りしたような参戦形態だったわけです。ホンダという大メーカーが出資支援するチームで基本戦えるレベルのマシン(いわゆる"走るマシン")を与えられて世界へ旅立つ。ちなみに、グンの参戦初年度は連載当時で実年で1988年あたりがスタートでしたが、作品内シーズンは実際の1987-89年を1シーズンに圧縮したような形となっています(作品内では19XX年シーズンと表記)。しかし作品内で移りゆくエピソードとマシンの変化を見ると1987-89を引用したシーズンとわかります。

圧縮したシーズンであるというのは、エピソード面からいうと参戦初期は1986-87の雰囲気の中でグンが走り始める頃です。予選ではルーキーながら驚きのタイムを出して見せるも、決勝となるとスタミナ・経験不足でトップ集団はあっという間に逃げ、中位での激しい争いに終始します。F.スペンサーが出なかったのは現実にアノ病気(?)によりシーズンを長期離脱していた頃と重なったのり、いきなりスペンサーではハードル高すぎて少し酷なのではないかという見方、また後の激闘の89シーズンを引用する上でスペンサーの存在は消してしまったという考えもあったのではと思います。実際にスペンサーが現れたらグンはどうなってしまうのかというのも見てみたいものです。

シーズン序盤、前記したようにグンはレースで中位争いに苦しみます。この展開はどの国のライダーも実際の世界GP参戦で必ず陥る現象です。ここから抜け出せるかどうかがコノ後の世界GPライダーの人生に影響してくるわけですが、グンもやはり捕まってしまいます。ここはグンでさえもそうなのか!という妙なリアリティを感じます。しかしグンはその中位争いの中では着実にGPライダーとしての速さ・強さというものを学習し、確実に強くなっていきます。周囲の外国人ライダーもグンをあしらいながらも、東洋の国からやってきた大したことのないライダーという見方から「コイツはちょっと違う・・」という違和感・脅威を感じさせ始めます。

チームのサブメカニックである太田が中位争いをするグンを賞賛します。しかしチームのチーフメカ島崎の諭すように語ったセリフ「この結果に日本のレース雑誌は派手に書き立てるだろうな、大健闘ってね・・。だけどな太田そんなのはウソッパチさ。そんなもんじゃない・・俺たちのグランプリは!!」自身でも世界GP参戦経験のある島崎のこのセリフの意味、いろんな意味で重いです。世界GPに出て、6位くらいに入って、それでよくやったと喜んで、そこで終わってて良いのか?中位の有名なライダーと互角に戦って、それは凄いことだがそれで満足!?世界戦に出るってのはそうじゃないだろうというメッセージ。当時の日本のレース界にあった「まあ、世界ではこんなもんだ」と思い込んでしまう負け犬根性のような風潮を痛烈に非難したセリフだと思います。だから日本人ライダーは世界に出ても勝てないんだ、速いのはバイクだけだなどと外国にナメられるんだ。これは俺たちの世界への宣戦布告なんだと。「いいか、これを漫画の中の話などと思うな!」という我々、読んでいる側への宣戦布告にも見えます。仲良しになりに行くのではない、喧嘩をふっかけて勝ちに行くのだ!そういう熱いメッセージを感じます。

しかしこのWGP編、しげの誌はもう隠す気もなく、当時出ていた雑誌(今もあるのかな)グランプリ・イラストレイテッド誌の写真からの作画を作中で用いるようになります。グランプリ・イラストレイテッド誌はそれはそれは美しいWGPのレースの写真を載せている雑誌で、当時ではWGPの様子を伝える貴重な情報源でした。文字情報は少なく、写真でありのままを伝えるというスタンスです。

素人目にもこのアングルのこのウイリーは明らかにイラストレイテッドから借用した!と分かる内容でした。しかし、私はしげの氏を賞賛したい。グランプリ・イラストレイテッドの写真を実際に動く映像として我々に送り届けてくれたのはしげの氏である。私の中ではバリバリ伝説の中のレースの画は確実に動いています。普通の人には分からないだろうけど実際の映像のように確実に動いて見えています。バイクがウォブルを起こしている様子もスライドして暴れている様子も、猛然と加速してダッシュしていく様子も・・。イニシャルD新劇場版ではしげの画を劇画タッチのままCGで動かしていましたがあんなかんじです。アニメCG技術も発達してバイクの走行作画もできるはず・・そろそろバリ伝もCGアニメ化してみてほしい。手描きの頃のアニメ作品は私にとっては酷い出来だったので。

それと、バリ伝とかの走りを頭でイメージしてそのとおりに走ろうとするのは非常に良いトレーニングだと思うんですよ、突然ですが。バリ伝の画が頭の中で動いていれば、走っている景色がそのままアレに見えますし。作中では加速する音、ブレーキングの音、バンクする音、切り返す音、いろんな擬音が使われていますが、その擬音がバイク乗りにとってあまりに的確なものですから実際に走っていてその音をイメージすることで走りを組み立てることも出来ます。

(6速で走ってくる)トアーーーーッ!!(ブレーキング)ぎゅいーーーっっ!!(三速落とす)ターンターンターン・・・ッララァァァ くいっ(膝を出す)ぐーーーーーっ(ホールドを解き抜重して倒しこむ)ぺかんっ!(フルバンク) ゴンゴンゴンゴン(旋回中) ッタラァッ!(アクセル微開)ッララララァァッッ ぐういっ(二次旋回) ぐうっっっっ(起こしながらワイドオープン)ッタアアアアアアアア!!!(4速)ッタアアアアアアアアア!!(5速)ッタアアアアア(6速)ッタアアアアアアアアア!!・・・・スパッ(切り返し)

イメージトレーニングはもちろんですが、実際に気持よく走っている時もこの音は頭の中で響いている事が多いです。はい真面目な話です。ですので、ライディングがうまくなりたい場合はバリ伝かあいつとララバイを画が頭のなかで勝手に動き出して仕方がないくらいまで読み込んでみることも一つの策としてオススメしたいです。はい真面目な話です。最近だとレースのビデオなんか簡単に見られますから当時に比べれば参考になる練習材料は多いですね。私の場合、バリ伝の影響でエンジン音はどうしても基本2スト音になります。しげの作品はよくページ一杯に歓声とか排気音でアアアアアアとか書かれていますが、あれも全部周囲の環境音となって聞こえます、簡単にスルーしてはいけません。

 

涙腺崩壊泣けるシーンなどもう数多ありますが、パッと挙げるならホッケンハイムの悲劇、ラグセナセカの激走・和解、最終戦日本GPの奇跡ですかね。

ホッケンハイム・・今のような短縮されたコースではなくて、はるか森の奥まで行ってスタジアムセクションに帰ってくる旧コースですよ。予選で脅威の区間タイムを記録しながらも強烈なハイサイド転倒で幻のコースレコード(この頃まだマシンは型落ち'86NSR)、手の怪我を押して出た決勝でタイヤの賭けに出たグン、同じく賭けに出ていたウェット路面を得意とするクリスチャンサロンが脅威を感じるほどの追い上げを見せる中、遂に訪れるラストチャンス・・優勝しか望まないグンはクリスチャンサロンのイン側へ決死の思いでマシンを滑りこませるも・・コースアウト、もう限界に来ていた右手は暴れるマシンを抑え込めずに・・ドンッッ!!

 

ガンボーイ転倒!!ガンボーーイクラッシュ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

非情・・あと少しで勝てたのに・・。皆が唖然呆然とする中、あと少しだと思っていた初優勝は消えました。激痛が走る手を抑えたままユラリと立ち上がるグン、私はここを読むたびに天を仰ぎます。床屋の待合室でたまたま置いていたバリ伝を手に取り、いけないと思いつつここを読んでしまいました。案の定、目を潤ませ鼻をズルズルさせたまま床屋をしてもらうことになりました。もう思い出しながらこれ書いてる時点で泣いてます。次々と後続のライダーが追い越して行く中、やっとマシンを起こしグンはスタジアムセクションを周り目前のゴールを目指すため走りだします。

ガンボーイ!!ガンボーイ!!ガンボーイ!!ガンボーイ!!ガンボーイ!!

コースを取り囲むスタジアムスタンドからグンのチャレンジを賞賛する観客からのガンボーイコールが湧き上がります、それがスタジアム全体を包む歓声となって痛みに耐え必死にゴールするグンを迎え・・。やっとフィニッシュラインを超えるも、精魂力尽きたグンはピットウォールに寄り掛かるようにしながら転倒、予選3位、決勝転倒の末7位入賞・・なんという幕切れでしょうか。深い溜息が出ます。

この後に日本人ジャーナリスト(最後まで名前出てこなかったような)が語る「GPには強烈な魅力がある。一度魅入られたら全てをなげうってでもこのムードの中に身を置いておきたくなるような魅力があるんだ。」という言葉に完全同意せざるおえませんでした。

ラグナセカの激走・和解。

終盤のアンダーストープ戦にて、最強の武器ガンボーイSPのNSR500('89ベース)を取り上げられてしまった事もあり(代車は使い尽くした'86NSR500)、レース中の我を失ったあまりに必死なアタックのためにライバルであるエディー・ローソンをアクシデントに巻き込み転倒・骨折させてしまい、危険なライダーとしての烙印を押されてしまったかのようなグン。自分の走りがただ危険とだけ判断され、自分の求めていた速さを求めるWGPという場への失望感で若さもあり自暴自棄となり次戦のアメリカ・ラグナセカ戦はバックレ(欠場)ようとするグン。

ちなみにこのアンダーストープの事はあの有名なケニーvsフレディーでのアンダーストープ事件へのオマージュであることは明白すぎる事実ですが、私はある一つの事を思っています。それはグンがノービス時の四時間耐久レースの時の出来事です。有名なラストの130R事件、勝ちに必死になったグンは3台のイン側へイン側ゼブラへ乗り上げながら突っ込むという度肝を抜く決死のラストアタックで勝利をもぎとりました。あのアタックは結果的に勝利に結びついたためアリとはされましたが、冷静な目で見て実際のレースでやったら明らかなコース逸脱の危険行為で、事実転倒した上位のマシンもあり、本当は失格とされるような行為であると思われます。しかしそこは漫画であるがゆえ「アリ」とされバリ伝の初期の名場面として殿堂入りしておりますが、ここの件でしげの氏は少し後悔していたのではないでしょうか。これは私見ですが、その後の全日本編でもグンがライバルのマシンに激しくぶつけ・ぶつかられながらバトルをするシーンがあり、少しレース界全体に「突っ込んだ者勝ち」「相手に当てても勝てばOK」という変な空気が少しあったようにも思えたからです。あの当時バリ伝の影響力は凄いですから、バリ伝の影響でレースをはじめた人も大勢いたので影響があってもおかしくありません。もちろん、あの描写はハイレベルな争いの中での軽微な接触も互いの信頼関係の中なら成立、という意味で描かれたものではありますが、曲解されてしまいノービスクラスのようなレベルでも「少し故意にぶつけに行っても勝てばOK」みたいなルールとして理解されてしまっていたフシもあります。これに対して、しげの氏は予想以上の影響力で「しまった」と思ったのではないでしょうか。その為、アンダーストープでグンが理不尽にも罰せられる姿を見せて「そうじゃない、本当はこうなるんだ」という訂正と、過去に描いてしまった贖罪も行いたかったのではないかと。これはあくまで私の妄想ですが。

脱線しましたが、グンはバックレ実行中に日本に帰国し懐かしき一ノ瀬レーシングのガレージへやってきます。ガレージの懐かしさの中で色々と思いながらまどろむグン。そこへグンの意識の中へ彼が現れます、そうかつてのライバル聖 秀吉です。私は幻と分かりつつも秀吉が登場したことに震撼したのを覚えています。あの頃のヘルメット・ツナギのまま、あの頃のカタナと共に・・。秀吉はグンに語りかけます。「ノッポ、どうしてアメリカに行かないんや?」グンは不思議と素直に語りだします。「そんな単純じゃねえんだよな・・」 そんなウジウジするグンに秀吉が強烈にシンプルに言い放ちます。「単純やないけ!速い者が勝つ!それがレースや!」。グウの音もでません。なんでしょう、私もかなりグサッとくるんですよこの言葉。べつにグンみたいにレースとかしてるわけじゃないのに。グンと同じ気持になるんですよ。気がつかないうちに、いろいろ考えすぎているからかな・・。言っているのは、秀吉の姿をした「あの頃の自分」なのかもしれないですね。

気を取り直したグンが呟きます「だれよりも速く・・昔からなにも変わっちゃいないよな・・」。最高にグッときます!!しばらく忘れていた、第一話で出てきたあのセリフです。何もかわっちゃいない、だれよりも速く!!言葉を残して秀吉は静かに消え去り、思い直したグンはアメリカGPへ赴く決意をします。本当にこのシーンは涙腺が耐えられないですね。アメリカGPへ行くグンは自分がヒール(悪者)になっていて危険だからフィアンセの歩惟ちゃんを置いていこうとするタコッぷりを発揮します。そんなグンに歩惟ちゃんは「それでも一緒にいたい、一緒に行きたい!」と懇願、グンは自分のタコッぷりを認識して了承し歩惟ちゃんもアメリカGPの場へと連れて行きます。けなげな歩惟ちゃんの成長に男親のように男泣き、しかも歩惟ちゃんがアメリカGPで放つ大ファインプレーへの布石。もうこのへんのストーリー組み立て、しげの氏神がかっています!!なんなんでしょうか、もう映画です。アメリカGP決戦へと向けて気分はどんどん高まっていきます。

アメリカGP現地ではやはりヒール扱いとなっているグン。脅威の予選タイムをマークするも称賛の声は少なく、ジャッ◯カエレコールが会場に響き渡ります。「なんだよ!!」と日本人としてのこっちの感情も思わず高ぶっていきます。喧嘩腰な雰囲気が作品中にもビンビンと立ち上ります。このまま決勝レースも最悪な雰囲気の中で行われるのかと思いきや・・。

そんな雰囲気を一変させるような、歩惟ちゃんの大ファインプレーがやってきます。やはりこの娘は女神である。そう思わざるおえない。あんなことをするなんて、あの悪漢どもに「出て行け!!」と私も叫びたくなりますね。そして変わったのはグランドスタンドを埋め尽くす観客も、全てが全てグンを単純に危険なライダーとは捉えていないということでした。同じアメリカ人が起こした悪い事には悪いという正々堂々としたアメリカ人の観客の姿に、こちらも少し心打たれはじめるのです。こちらも喧嘩腰で接していたアメリカ人に対する腹正しい見方が少し変わってきます。

決勝レースがはじまると、グンはまたやらかしてしまい、ライバルと共に最下位からの追い上げを開始します。地元ヒーローを巻き添え最下位にされ、アメリカ人達は大激怒。グンに罵声を浴びせます。そんな中、脅威の追い上げが開始されます。ジリジリとしかし確実にトップ集団を追い上げていくグン、全力で逃げるワークマシンのトップ集団を追い上げるという少し現実ではありえないですが俺達のアメリカGPにそんな無粋なツッコミはもうイイんです。グンの脅威の追い上げにギャラリーのアメリカ人たちも「なんか・・コレって凄くない?」と少し戸惑いながらもグンを認め始めます。そして遂にトップに浮上、ライバルとのトップ争いのマッチレースが開始されます。コースレコードを記録しながらのマッチレース、観客は半狂乱になりながらレースを見守ります。しかし、どうでしょう。そこで争われるレースは全くクリーンで且つスリリングな内容だったのです。アメリカ人の観客はみんなグンが危険なライダーであることなど忘れて素晴らしいレース展開に没頭していきます。観客の日本人とアメリカ人同士も、互いの国のヒーローの凄さを認め合い、互いにエールを送り合います。そうお互いに分かり始めたのです。ただただ凄いんだと。自分が抱いていたイメージが決めつけであり誤りだったと認め、相手を理解しはじめたのです。

そしてレースの終結、勝利したグンは観客の前で喜びを爆発させます。その姿は興奮したアメリカ人観客を刺激し、またもグンに対するブーイングの嵐になってしまうかと思いきや・・。沸き起こったのは敗北したものの自国のヒーローを称えるコールと、そして渦のようなガンボーイコール。憎き敵だったはずのグンに対する賞賛のコール。

ガンボーイ!アンダーソン!

ガンボーイ!アンダーソン!

ガンボーイ!アンダーソン!

ガンボーイ!アンダーソン!

 

何度読んでも感動で体が震えます・・・・!!

グンの素晴らしい走りは観客にグンの本当の姿を伝えたのです。汚い手を使う危険なライダーなんかじゃない、正々堂々と戦う強いライダーだったのだと。そして認めてくれた・・。

読み終わると、ただただ、涙です。アメリカGP。

 

 

最終戦 日本GPの奇跡。

 

「99%掴んだぞ 世界タイトルを!」

 

「フロントサスペンションはフルボトム!!ローターが火を噴く!!」

 

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア

 

 

巨摩郡選手は、ワールドグランプリの500ccクラスでシリーズチャンピオンを獲得した最初で最後の日本人です。」

ゼッケンは56でした。

 

2015年現在、それ以来、日本人はオートバイレース世界選手権最高峰クラスでチャンピオンを獲得していません。

 

 

-事実記載終了-

 

いきなり漫画の話 -バリバリ伝説- その1

パニガーレは冬眠のため、バッテリーを取り外し冬眠しました。ですのでパニガーレネタは春までおあづけとなります。色々やりましたが、特に大きなメカニカルトラブルなく今年も走り終えました。ちなみに、来春はそろそろ小慣れてきた感のあるリチウムバッテリーやらというものに挑戦したいと思っています(予告)。

 

で、オフシーズンにしようと思ってたバイクネタはバイク漫画ま話であります。といっても、最近の若年層バイク乗りのあいだで人気なナントカおん!のよなう漫画ではなく(最近、アレにもやっと目を通して体を慣らしているところです)ある程度年齢のいった世代の好きな漫画です。まぁタイトルで書いてるわけですが、まずはバリバリ伝説からいきましょう。

 

はい、で、30代~40代ではどストライク、この漫画でバイクに乗るようになった人なんてそこらにゴロゴロいそうな漫画であります。それくらい社会的にもインパクトの強い漫画でした。イニシャルDなんてレベルではないと思います。中学二年生の思春期だった私は、当時バイクなどは全く興味もなく、友達との自転車でのスピード競争自体も興味なし、というか嫌いでした。そんな私に悪友が見せたのが連載がはじまったばかりのバリバリ伝説だったのです。

 

どがあああああああああああああああああああああああん!!ビリビリビリビリッ!!

 

多分、あの見開きのページのことだと、分かる人にはすぐに分かると思います。見開き一杯に書かれた風景が尋常ではないスピードで流れている風景。あれを見て私は大きなショックを受けました、ハッキリと覚えています。私のあの画が動いて本当に走っているように見えました。まだあんなスピードで走ったこともないのに・・。

バイクに興味ある悪友と共に夢中になって連載を追っかけはじめたわけですが、いわゆる第一部、CB750Fとカタナで峠を走り回り、鈴鹿四時間耐久レースを戦い終えてアノ悲劇のエピローグまですね。バリバリ伝説においてこの第一部こそが至高であるという意見が大勢だと思います。後の第二部、第三部は蛇足でしかないと。彼の死にリアルショック受けて燃え尽きちゃった人がかなり多くいたみたいで・・そのせいのようですね。私は「あ、そうなっちゃったんだ・・」というふうに静かに受け止めていましたが。未だにネット上のバリ伝論評には「なぜアイツを殺した!」という意見がかなり散見され第一部でバリ伝は終わってる人が多いです。

私は第一部にはあまり大きくは感情移入しないです。峠の最速を目指して走ること、大きな舞台のレースに勝つこと、そして悲しい死・・。バリバリ伝説において後の展開に大きく影響する絶大なる土台部分なわけですが、私にとっては好きなんだけど、やはり第一部は土台であり、その上に構築される第二部・第三部こそが私が好きな部分です。いわゆる第二部(全日本ロードレース選手権GP250ccクラス参戦編)、第三部(世界グランプリGP500cc WGP参戦編)です。

私の中では熱さという視点から比べると第三部>第二部>第一部 でしょうか。しかし第一部がぜんぜん興味なしではないですよ!!第一部でも熱く語れます。しかし、第一部だけが好きで第二部、第三部のサーキット行ってからは興味無いなぁーという声を聞くとすごく寂しくなってしまいます。

 

各部ごとに書けたら語っていきたいのですが、ここでは全体を通してざっとドコが好きか、何が好きか、なぜ好きかについてダラダラと書いていきます。

 

履いたタイヤとは その3 -NANKANG ナンカン WF-2 デビュー -

やっとタイトルで落とせました。

NANKANG ナンカン WF-2のインプレです。

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公式サイトはコチラ

http://www.nankang-tyre.com/home.php?fn=jap/products_car_detail&lv1=16&lv2=24&no=38

台湾のメーカーです。

国内メーカーに比べると非常に不安になるほどの情報量の公式サイトですね。190/55-17はサイズ展開にはありませんが実際は流通しています。

四輪のタイヤ方面では知名度あるんですね。

 

まあ、今でこそこんなこと書いてますが、この交換完了した当初は完全に思っていました。「これはやっちまったかな」と。なぜなら、手組交換であれだけ硬さというか変形しなさに苦労したんですから、走行フィーリングだって粗悪なツーリングタイヤのゴッツゴツのゴロゴロした感触が伝わってきて最悪だろう思ったんです。このタイヤ空気入れなくても大丈夫なんじゃないかと本気で思いましたからね。それでも安いから、まあ春までバイク転がせれば御の字・・という諦めの境地の中での走り出しとなったのでした。

 

 

 

 

 

インプレ

 

イインデス!!(楽◯タイツマン)

 

かなり身構えて乗り出しました。

おかしいんです、このタイヤ。

ムムッ?ムムムッ?というかんじで。

予想が裏切られました。

 

空気圧は規定値(FR共に公道2.5bar 2.55Kg/cm2、サーキット走行時はF2.3bar[2.35Kg/m2] R2.1bar[2.14Kg/cm2])なのですが、サス下からの不快なショック及びゴツゴツ感無し、タイヤの重さからくるゴロゴロ感無し。これはおかしいですね。あの手組の感触からこの感触が出るのはおかしい。経験がありません。

寝かしこみも癖なく寝ていきます。途中から変に切れこむとか、勝手にステアされてラインを強制されるとかいうサーキット志向の強いタイヤにありがちなクセや神経質さも無いです。自分の通りたいラインを行かせてくれる、そしてけして899パニガーレのハンドリングをスポイルする挙動もない。

軽くワインディングを走ったのですが、普通にいつものペースくらいで走れてしまいました。途中からもう新品タイヤの慣らしは終わった気分です。このタイヤから受けるフィーリングは私はダンロップに近いと思います。特にロードスポーツというタイヤ。あれもライダーに乗り方を強制しないクセのない良いタイヤでしたが印象がそっくりです。どちらかというと、手組するとダンロップは柔らかい部類の印象なのですが、結果的になぜあれと同じ感触がするのか不思議です。

新タイヤでいきなり晩秋の15度付近から走りだしましたが、特に慣らしを意識すること無く走り出せましたし、唐突に滑って怖い思いをしたというのも皆無です。20kmほど走ってタイヤを触ってみると暖かいではなく、けっこう熱い!と感じるほど予想より温まっています。

これは気に入りました。峠遊び、年に数度のサーキットスポーツ走行へ遊びに行くには充分じゃないでしょうか。特に、ガチガチにタイムを狙うわけじゃないけど、せっかくのサーキットへは新品タイヤで遊びに行きたいという向きには経済的負担の少ないタイヤではないかなと。それでいて十分に楽しめますね。

 

とにかく最初の印象を吹き飛ばされた、不思議なタイヤですね。

先入観なしで一度履いてみることをオススメします。

 

1000km弱経過しましたが、フィーリングは良いままです。4000kmは大きく崩れること無く行けそうな予感です。

 

 

追記

http://www.globalco.jp/wp-content/uploads/2014/02/Autoby_201403_SPORTIAC.pdf

この記事を某所から見つけました。この記事書いた後から見つけたのですが、この宮崎圭一郎氏のインプレに賛同ですねー。同じように感じていて嬉しいです。グリップはもちろん、そのハンドリングの評価がそのとおりだなあ、と。やはりあのサイドウォールの強烈な「腰」が良い方向に作用してるんでしょうね。チェンジャーで替えた人は「このタイヤ組む時どうでした?」と聞いてみるといいかもしれません。多分、チェンジャー作業でもこの「ちょっと違う感」は感じると思うのですが。

 

2016年10月 追記

ほぼ一年使用(冬季三ヶ月は休眠)してみました。

峠遊びににツーリングにと使用して距離にしてスリップサインが出てしばらくして5000kmほどです。スリップサイン基準のライフとしてはおそらく6000kmが限度でしょう。しかしスリップサインが出てしまっているとプロファイルが変化して美味しいところは終了しているので、実質のライフは3500~4000kmと考えるべきでしょう。フィーリング劣化もゆるやか。空気圧の低下をフィーリング劣化と勘違いしないように、茎気圧管理はしっかりしてあげたほうが良いでしょう。

これはナンカンに限ったことではないのですが、特にスポーツ・ハイグリップタイヤはタイヤプロファイルが変形(真ん中だけ減ったり、いわゆる台形減り)してしまったらスリップサインが出ていなくとも、もうフィーリングも良くないし楽しくないし終わりだと個人的には思います。

総評はぜんぜん良かったということです。グリップの良いタイヤで気軽にツーリングにも行くことができました。すごく高いハイグリップタイヤを履いてツーリングに行って真ん中だけ減らすジレンマを抱えて走るくらいならこのようなタイヤを履いたほうがいいと思います。ましてせっかく高い金出したハイグリップタイヤが勿体無いからといってカーカスが出るまで履くのはせっかくの楽しいバイクで無駄な距離を重ねるだけです。スポーツティな走行もしたいけどツーリングもソコソコ楽しみたい、けどだからといって完全なツーリングタイヤに落としてしまうのも心情的に・・という向きには最適だと思います。ツーリングタイヤにするとライフが長すぎて数シーズン履くことになり、逆に走行距離的に使い切れないというジレンマをもつ人にも良いと思います。

 

というわけで、私は気に入りましたので実をとってこのタイヤをまたリピートしたいと思います。年間6000km走行ならこのタイヤを半年一回交換が理想だと思います。

リッタークラス向けで前後で¥20,000ほどという安価。バイク用タイヤがそもそも高すぎる(バイクに乗らない人に前後で4万円とか言うとと大抵はすごく驚かれますよね)。あとは自力タイヤ交換ですが、やはり慎重さは必要。サクサクと鼻歌まじりで柔らかいタイヤだけやってた人は気をつけたほうがいいです。出来れば一度はサーキット走行用SPタイヤの「固くなった中古」を組んだ経験があったほうはいいでしょう。ゆっくりじっくりやれば出来ます。

 

★追記・警告★

リピートしたのですが、この使い終わったタイヤ、交換の際、外せませんでした(泣笑)

フロントはなんとかかんとかイケたのですが、リアはもうギブアップでした。

正確に言うと、タイヤ構造が固すぎでホイールからタイヤを剥がす段階(私の考える、手動タイヤ交換で最も難しいパート)がどう考えても人間の力では出来そうにありませんでした。使い終わったベッコベコのミシュランタイヤなどであれば力技で楽勝でホイールからスパッと剥がせるのですが、このナンカンタイヤに関しては本当に出来ませんでした。なので、泣く泣くショップに持ち込んで、工賃を支払いお願いして、剥がすとこだけチェンジャーマシンでやってもらいました(正直、「素人が無茶しなさんな」と思われてるんだろなとムチャクチャ恥ずかしかった)。

手組みタイヤ交換を始めてから初の敗北です・・。「あ、これ絶対無理。ホイールに傷が入る前にチェンジャーでやってもらったほうがいい・・」、そう素直に考えてしまうほどの圧倒的な敗北でした。かなり屈辱でしたが、この難しい部分だけ、これからお金払ってチェンジャーでやってもらおうかなとも開き直って考えはじめました。

それくらい面倒なんです、このホイールからタイヤを剥がすパートは!

タイヤレバー使ってビードをホイールに埋め込む or ビードをめくる部分が難しいと思われてますが、全然違います。慣れればあんなとこナンカンだろうがなんだろうが楽勝です。実は一番大変なのはホイールからタイヤをスパッと剥がす部分なのです。チェンジャーでの作業を見ていても、ここはかなり手間と時間をかけて慎重にやっているのがわかります。

この動画の2分16秒から32秒の部分

www.youtube.com

 

 

それほど構造が固いんです、ナンカン スポーティアックWF-2!!

新品時と使い終わった時のタイヤの固さの変化が極端に少ないと感じました。普通、使い終わったタイヤは薄くなって少しは構造が柔らかくなってるものなんです、故に外しやすい(ミシュランは特にそう)。

 

しかし乗り心地は良いんです。ここだけは勘違いしてほしくない。手動オンリーでの交換は無理なレベルの固さですが、走りの性能に関しては不満は全くないのです。

もしも手動でやるなら、サーキット走行用のスペアホイールなど、苦戦してホイールに傷が入りまくっても構わないホイールでやったほうが良いです。それでも、交換できるという保証はしませんが・・。(アソコを二人がかりでやれば出来るかも??)

履いたタイヤとは その2

さて、履かせるタイヤが判明しました。

 

NANKANG ナンカンWF-2です。(対検索用表記)

WF-2検索で来た方、情報発見おめでとうございます。できうる限りの情報を公開したいと思っております。

 

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サイズは120/70-17 と 190/55-17。タイヤ交換の項で考察した結果により、180/60-17ではなく190/55-17をチョイスしております。

お値段はこのサイズの前後セットで¥23,000ほど(送料込み)

特売とかではなく、通常の価格でコレです。ちょっとありえないでしょう、この値段。これなら摩耗してプロファイルが変形してハンドリングが悪くなったら、スリップサインまでまだ余裕があっても交換というのもやりやすいのでは。後述しますが、サーキット走行に一日遊びに行ったら終わりという使い方も。

販売しているのは特定の通販店か、ナップス・ライコランドなどの用品販売店のようです。履き替え工賃まで入れると¥25,000前後というところか。それでも安い。バイク屋さんとかに頼むには仕入れルートが無いと無理でしょう。手組み派にはかなり有利なタイヤではないでしょうか。

 

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で、手組で履かせてみました。

ここで言わなければならないのは「苦戦した」ということです。

実は一度、このタイヤを履くことを諦めかけています。本気で別のタイヤを買い直そうと心が折れかけたくらいです。なぜかというとこのタイヤ、構造が固いんです。固いというのは語弊があるかも、変形しにくいというか復元力がすごく強いんです。肉厚が厚いというか・・。上の写真を見てもらうと、タイヤの左上がヘコんでいるのが分かると思います。手組の装着後はよくこうなってます。タイヤの手組の際には、「レバーで作業している180度反対側の円周部を踏みつけてホイール内側へしっかりビード部を落とし込まないとけしてレバーでタイヤは入らない」という絶対のセオリーがあります。そのため、体重を乗せて作業するとタイヤはベッコベコに変形します。

手組経験のある方が見ると、この画像は少し違和感があるのではないかと思います。

これ、交換達成直後なのにヘコみが極端に少ないです。今までやったどの国産、外国産タイヤでもヘコみはもっと凄いです。この画像の比ではないくらい、タイヤが壊れたのではと心配になるくらいベッコベコに変形します。(エア入れるとちゃんと膨らむので機能上は問題はないのですが)

このタイヤも体重をガンガン乗せてやったのですが結果してたったこれだけしか変形が残りません。というかタイヤから体重を外すそばから元の形に即効で戻ってしまいました。変形が少ないのでなかなかレバーでタイヤが引っ張れません。この怖さは手組をしている方が聞けば分かるのでは。

1回、本気で諦めかけましたが一晩考えなおしてもう一度トライしました。基本を思い出してゆっくりゆっくり、ジワリジワリと・・。リッターバイクのタイヤを何本も組んで外してきましたが、こんなの初めてです。サーキットの中古タイヤ(BT001とか)は硬化して固かったなぁ・・それでもこれほど苦戦はなかった。結果として履けました。体重を載せ変形をキープさせるのを少し工夫です。変形しにくい利点としてビード部がホイールに密着しやすいので、エア入れでビードが出しやすいというのがありました。定番のタイダウンで全周を縛ってバイク用の高圧空気手押しポンプでビードが出せました。タイダウン縛りもいらなかったかも。ちなみにこれフロントの120サイズの話です。リヤの190サイズもこれを踏まえてやったら同じ苦労がありましたが一度で入りました。

やってやったぞコノヤロウ!と思わずガッツポーズ。一応買っておいたKTCのレバー性能には本気で助けられた、KOWA興和精機のリムブロテクタ大量投入にも助けられた。

 

www.webike.net

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ある程度の経験ある方でも、手組でやる祭の注意はゆっくりと焦らずにやること。局面でビードクリームはしっかりたっぷり塗ること。国産の柔らかタイヤみたいにナメきってやると痛い目見ます(自分)

 

これが、このタイヤに関する注意点ですね。

タイヤの手組交換をしない方には関係ない話と思えますが、実はこの経験があったからこそ驚きの結果があったのです。

 

その3へ続く。